『Sound Room』 中居くんの娘。バラエティ診断
4月16日、モーニング娘。'14が、56枚目のシングル『時空を超え 宇宙を超え/Password is 0』を発売しました。
前作からかなり短いインターバルでプロモーションも少な目ですが、それでもメンバーのブログを見ているとちょこちょこテレビ出演はある模様。
単なるプロモーション出演であれば、通り一遍のお話をするだけで御役御免ですが、過去の娘。を目指すと明言する彼女たちには、ぜひバラエティ番組の現場でも活躍を見せて欲しいものです。
そこで、これからを占う意味でも 【歌番組でのトーク】 を想定して、前回その典型であった 『Sound Room』への出演の様子を振り返って、今後こうしてみらどうだろうと思うところを書いてみたいと思います。
※モーニング娘。については比較的ライトなファンですが、テレビ・お笑いについてはこじらせているので、ここから超長文になります。あと、度々エラそうな物言いが出ることを先に謝らせてください。あしからずご容赦ください。
中居くんの歌番組に出られるのは嬉しいこと
au「モリ娘。」の採用の一報からわずか5日後、前作のリリースに伴う出演ラッシュに入りましたが、そんな中で『Sound Room』の予告を目にしました。
娘。が『Sound Room』に出るんだ!録画を見ててびっくりしたー スゴいよ、黒バラ以来、2年ぶりに中居くんと楽曲について語るんだぁ。音楽番組を再構築中のTBSでメインとなる中居くん音楽番組。ぶっちゃけMステよりも嬉しいんだけど、TLを遡っても不気味なくらい静かで悲しい。。
— もかまっちゃ (@_mochamacha_) 2014, 1月 27
TLの空気も読まずに小躍りするようなツイートになってしまったのですが、盛り上がったのは幾つか理由があります。
一つは、TBSが 音楽番組をバラエティ路線から立て直そうとしていること。アイドルであってもきちんと楽曲に着目してくれるであろうことが期待出来ました。現にこの番組は事前にMCの二人がMVを視聴し、ゲストとともに歌詞の一部をクローズアップするコーナーを設けています。*1
楽曲に注目されるのは今の娘。が他と差別化したい部分であるため、とても有難いこと。更には、今後FNS歌謡祭やMステのような番組につながる出演になるかもしれないという思いもありました。
もう一つは、中居くんの番組であることです。今どきのテレビバラエティを知り尽くした司会者であり、モーニング娘。とご縁の深い人でもあります。とりわけ今のモーニング娘。若手メンバーが最もバラエティで活躍した番組と言える 『ブラックバラエティ』 でお世話になった人に、2年ぶりにお目にかかれるというのは非常に楽しみなことでした。
憶えてますか。最後を締めくくった鞘師&石田の活躍ぶりはファンが大いに勇気をもらう思いでしたが、注目はそこではなく、屈託の無い9期と10期の表情です。
更にもう一つ。この番組はクールで素に近い中居くんが魅力です。
もちろん、スターの本当の表情なんて答え合わせのやりようもありませんが、2008年当時の『情熱大陸』のテンションに非常に似ていると思って見ていた番組なんですよね。ですので、その時ドキュメンタリーの中の鶴瓶さんの雰囲気から、便宜上、これを「素に近い」と思うこととします。
中居「(楽屋挨拶に来た鶴瓶に対して)『情熱大陸』(の撮影中)です」
鶴瓶「なんで情熱大陸やの? 今さら。何の情熱もあらへんがな」
(周りから笑い声)
鶴瓶「何の情熱やの? 情熱なんか全然ないよ。冷めたことばっかり言うよ、本当に」
鶴瓶師匠の仰る通り、この回の放送で見られた中居くんの特長は、「情熱」よりも仕事に対する「戦術」でした。上の場面の後、鶴瓶さんの中居くんに対する評価が紹介されています。
ナレーション「大先輩が、彼をこう語る。『どう見せれば視聴者を惹きつけるか分かってる あいつにはよう怒られてます でも実際やってみるとあいつの言う通りにするのが一番ベスト』(『ぴあ』2008年11月20日号のインタビュー記事からの引用)」
正解に導く独自の方法論を持っていることが紹介された回だったのですよね。
2年ぶりに娘。が独り占めにする中居くんであり、かつ戦略家でもある「素に近い」中居くん。モーニング娘。'14はどのように相対したのでしょうか。
中居「さあ、今夜の一曲目参りましょう。『君の代わりは居やしない』モーニング娘。'14のみなさんです」
娘。一同「よろしくお願いしまーす!」
中居「おお、これはすごいですね」
中居くんのバラエティ定期健診
短い収録時間です。冒頭の台本で決まったパートをさっとこなすと、中居くんは早々に仕掛けてきました。
工藤イジリ
中居「君、いくつ?」
工藤「14歳です」 → 中居くん、固まる
娘。一同「どういう」「どういう……」「どういう意味ですか?」
中居「声がもう……」
工藤「ダミ声っていうか、ハスキーなんですけど」
中居「酒飲んでるわけじゃないよね(半笑い)」
工藤「違います(笑) 全然未成年なんで」
(略)
リリー「いや、でも彼女なんか14歳なのに一軒くらいお店出してそうな感じ」
工藤「違います違います。全然そんなことないんですけど(笑)」
ノールックパスのように表情だけのおかしなフリ。最年少・工藤は声が低い特徴を突かれますが、無難に答えました。無難に否定。
続いて、最年長をターゲットにします。
道重イジリ
中居「一番、今、年上は誰ですか?」
道重「はい、道重です」
中居「道重さんだけ、知ってるね(憶えてる)」
(略)
中居「で、道重さんが、この中でもボスになるんだ」
飯窪「いや、ホントに素晴らしいボスです」(突然入ってきてBGMが止まる)
中居「『世の中には私以外に可愛い人なんか居ない』ってキャラをずっとやってたじゃないですか」
飯窪「いや、それは事実ですからぁ。かわいいのは道重さんがNo.1っていうのは事実なんですけど」
中居「周りもそう思ってるってこと?」
娘。一同「(一斉に)思ってます」
中居「……いやいやいやいや」(大仰に左右に手を振る)
娘。一同「(一斉に)いやいやいやいや!」
飯窪「本当に思ってますよ」
中居「そんなこと言ったら、みなさんだって可愛いじゃないですか」
工藤「いや、道重さんがやっぱダントツにかわいいです」
飯窪「隣にいたらちょっと(困ってしまうくらいかわいい)」
リリー「完全に制圧してますね」
おそらく、年寄りイジリで、「最年長は厄介者扱いされるのが常だ」という展開を想定していたのですが、飯窪さんの返しで状況が一変。それでも立て直して、「かわいいキャラやってるような人は厄介」と再度年寄りイジリの方向に持っていきますが、それも全員が全力で否定。オチを落とさせません。
結果、ベタな年寄り扱いではなく、「厄介な人に制圧されている」という計算外の笑いに落ち着きました。 ※これがもたらすもっと大きなマイナスがあるのですが、それは後述。
そこで、中居くんは立て直しを図るべく、定番の伝家の宝刀を抜きます。
中澤イジリ
中居「上の先輩の人たちと会うこととかあるんですか?」
娘。一同「はい」
中居「一番上は、ボスが中澤さんが」
娘。一同「そうですね」
中居「が、『一番怖い人』でいいのかな?」
娘。一同「怖いってことは……」「そんなことはないです」
中居「ああ、もう孫世代だから優しくなっちゃうんだ」
娘。一同「いやいやいやいや!」
中居「一斉に来るんですね(笑)」
ちょっと、この時点で、定期健診のような感覚がありましたね。
ある意味で、「モーニング娘。の伝統芸」とも言える【中澤=怖い】ネタへの反応で、その時どきのグループとしてのキャラクターが見えてくると思うんです。元気なのかおとなしいのか、面白いのか真面目なのか。これは良し悪しではなく各々の特徴です。モーニング娘。の場合、そういった時間軸での定点観測が一つの目安になります。
さて、導入のブロックが一進一退で過ぎると、その後、ようやくヒットの場面がやってきます。
鈴木イジリ
フォーメーションダンスの難しさについて話す中、いきなり香音ちゃんが切り出します。
中居「(VTR明け)これ大変だねえ、合わせるの」
娘。一同「はい~」
中居「一人がズレたらダメでしょ?」
娘。一同「はい~!」
※理解してくれたことに喜ぶ鞘師
この画に乗っかってくるように突然切り出す。
鈴木「だから、プレッシャーが強いですね」
鈴木「みんなで心を一つにしなきゃいけないじゃないですか」
中居「うん」
鈴木「だから、自分だけが置いてかれるといけないじゃないです」
中居「うん」
鈴木「プレッシャーが物凄いです、毎回」 (キリッと締める)
中居「楽屋のおにぎりを握ってくれてる人ですか?」
娘。一同「(笑)」
「うん」「うん」とテンポを整えたところからのカウンター。しかし、中居くんが注目していたのはこの後でした。
鈴木「違いますー!あたしよく言われるんですよ、そういうこと!違うんですよ。ぽっちゃりなんです、ただの!」(一気に捲し立てる)
鈴木「楽屋のおにぎりとか握らないですよ」
道重「ただのぽっちゃり(笑)」
一同「(笑)」
中居「居ないと困りますからね、あなたみたいな(笑)」
お正月のどっきりの東野さんと単語のチョイスが違うだけで、ほぼ一緒のイジリでした(参考: 『新春豪華どっきり祭り!3時間半SP!』 準備が出来ていた娘。たち - テレ娘。)。実績があるので自信を持って即答。中居くんのファーストトラップに難無く合格です。
録画を残している人は見てもらうと分かると思いますが、捲し立てた後に、大物が釣れたとばかりに喜ぶ中居くんの表情が入っています。エサを泳がせて食いつきを窺うルアーフィッシングで見事ヒットしたような感覚だったのではないでしょうか。
その答えが編集後に付けられたテロップでした。
「中居が気になった逸材 鈴木香音」
名司会者ほど攻め手は明確です。
背が低い、太い、歳をとってる(最年長)、子供(最年少)、天然、声が高い、訛ってる、言い回しが面白い、等など、テレビで分かりやすいよう視覚か聴覚にうったえる特徴的な「ツッコみどころ」を持つメンバーにパスを出し、戻りの様子をうかがいます。
今回は、定番の「最年少」「最年長」と、オプション的に会話の中で見つけた「太い」「声が低い」に取っ掛かりを持ってきました。カットされた部分はもっと有りそうです。
かつては明らかに背が低いバラエティの総大将がイジられる役割を担ってきましたね。
ともあれ、撮れ高(O.A.出来る面白い場面)を稼ぐために話を振る的が決まりました。
こういう時、さんまさんの言葉を思い出します。何か面白いパターンを見つけると最低3回は同じキラーパスを出す、しかも、相手が気を抜いている時を狙ってくるといいます。フラグが立った香音ちゃんに、再びノールックパスがやってきます。
鈴木イジリ2
テーマが変わって、歌詞にちなんだ「才能」についてのトーク。
中居「みなさん、才能とかってどういう風に感じられますか?」
鈴木「はい、えっと私、これ才能かどうか分からないんですけど、アイドルなのにNGが無いんですね」
中居「去年の米は豊作でしたか?」
娘。一同「(笑)」
才能の話はおそらく台本で進行を指示されているものです(中居くんの手元のメモを見ているし)が、この中居くんのパスは本筋と関係ないので明らかに独断で発した急な振り。一方、受け手の香音ちゃんは台本を通す事に気を取られていたので、見事に虚を突かれます。そして、見ている側からすれば、おにぎりのくだりからの「重ね」なので確実にヒットします。
よく見ると、この日の中居くんはオンエア上、香音ちゃんと一言もまともな会話のやり取りをしてません。笑
中居くんが『ブラバラ』の出演を憶えていたかどうかは分かりません。いえ、年に延べ数千人のタレントさんに話をしている超人気司会者であり、アイドルだけでも延べ1000人と話していると考えると、2年前に会った新人の女の子のことを憶えているというのはちょっと難しいです。名司会者の勘はすごいなあと感じさせられる場面です。
でも、香音ちゃんの目線から妄想して、もしバラエティが大好きな一人の少女に大司会者が密かに期待をしていて、2年の時を経て久しぶりに会った場面で成長ぶりを確かめていたとしたら……とても気持ち悪い妄想ですが、そう考えるととても感慨深い場面がその後に展開されます。
中居くんのプライベートレッスン
上でも台本について少し触れましたが、ぶっちゃけ「ものまね」(鈴木)と「魔法」(生田)は予定されていたんじゃないかと思います。今の娘。には他に撮れ高として確約できるものが無いので、面白いので見てみたいというよりも押さえておくネタとして。
しかし、中居くんはハンパな芸を放ったらかしにはしませんでした。これがとても有り難かった。
鈴木「果物のリンゴのものまねをしたいと思います」
中居「はい」
鈴木「3,2,1…りんご」 ※毒りんごみたいな顔
(りんごの顔のまま1秒停止。その間シーンとする)
鈴木「そして、続いては、えーっと……」
(何事もなかったかのように笑顔で進めるので、ここで初めて笑いが漏れる)
中居「いいよー、『続きまして』だね」
鈴木「続きまして!続きまして、トイレの便器のものまねをしたいと思います」
中居「はい」
鈴木「3,2,1…ジャー」 ※便器に水が流れるような顔
(2~3人が失笑。動揺に震えるリリー・フランキーの顔がインサート)
中居「『そして最後に』」
鈴木「そして最後に!……」
(と言ったものの3つ目は用意していない。でも笑顔はキープ)
鈴木「あー、みかんのものまねをしたいと思います」
娘。一同「おっ」「おーっ」
鈴木「新作ですよ♪ 3,2,1…ペロン」 ※みかんの皮がむける顔
(工藤のみ失笑)
リリー「(口元を押さえながら)……なんかどんどん面白くなってきた(笑)」
(メンバー一同から歓声が上がる)
娘。一同「大成功!」
ずっと緊張状態のメンバー、それを知ってか知らずか終始笑顔の香音ちゃん、冷静に指導する中居くん、そして、傍観しているうちに巻き込まれたリリー・フランキー。それぞれ思いがバラバラのスタジオでしたが、無事にオチがつきました。
見ていて、介添えしてくれる中居くんの優しさに感激しました。何故こんな優しいのか、考えてみたのですが、やっぱり前の段階で面白い返しができたからだと思うんです。
真面目なやり取りから「おにぎりを握る人」とキレイに足払いしたのに、すぐ立ち上がって捲し立てるように食らいついた度胸と根性。で、「あの返しが出来るなら」と、合いの手を入れればオチまで運べるだろうという目論見があったのではないかと思うのです(他のアイドルに対して、ぐだぐだしたタイプにば途中でバッサリと切った場面も見たことがあります)。
おそらく、あんなに強烈な変顔をテレビカメラの前で披露するとは思ってなかったとは思うんですけど。
もちろん出演者側の責任者として盛り上げるお仕事をまっとうしたというのがそもそもの第一理由ではありますが、その選択肢として奇天烈な顔芸を完遂させようとしたのは、そこに(放送上面白いものが生まれるという)信頼が寄せられていたということでしょうか。
先ほど言った通り、もし『ブラバラ』のことを憶えていて「師匠」とまで呼んだ子の成長を見守っているのだとしたら……という妄想で語ると、ちょっとした時空を超えたロマンチックな逢瀬だったりもします。
ともあれ、あの場で彼女を買ってくれたのは、笑顔が良いとか雰囲気が面白いとかアナログな理由ではなく、実績(宣材資料よりその日のコンディションで判断したと思います)を元にした中居くんの確信から来るものだったのかなあと思いました。
難しいことをあれこれ考えましたが、そもそもアイドルの一発芸なんてハードルは低いので、多少の補助をすることで何とでもなる。やり切ってくれれば良い。そんな感じだったのかも。結果、ネタ自体の質はさておき、実際に三段オチでリリーさんを掴むことに成功しました。
鶴瓶師匠が評した、「実際やってみるとあいつの言う通りにするのが一番ベスト」という神通力は本当なんだなあと思います。
レッスンを終えて
ここの時点まで、香音ちゃんの変顔ものまね芸は改良のしようがないと思っていたので、この一連は目からウロコでしたね。
周りの面々は気が気でない様子で見守っていましたが、香音ちゃん的には、ドキドキしながらもとても楽しかったんじゃないかと思います。いつもテレビで見る憧れの人とともに「どうやったらもっと楽しくなるか」という大好きなお笑いを組み立てていくだなんて、彼女にとって夢のようなプライベートレッスンであったに違いありません。
中居「3回。三つは欲しいね!」
鈴木「そうですね、分かりました。ありがとうございます!」
三段オチの構成とそれを活かすためのつなぎの言葉、それから途中の笑い待ちの1秒停止を詰めること。これでネタとして成立しそうです。
娘。'14のバラエティ偏差値
モーニング娘。がこれからどういうグループになっていくかは分かりませんが、少なくとも過去の娘。に対抗するのであれば、バラエティ番組での掛け合いが一つの見どころになります。
その準備が出来ているかどうかは、自己PRよりも聴く側に回った方が分かるのだなあと思った場面がありました。
中居くんの小話披露
生田の質問から、中居くんが面白おかしく答えるくだりがありました。
生田「本業以外で、『あ、これ、才能だ!』って思った事ありますか?」
中居「才能なんて感じたこと無いですよ。」
娘。一同「へぇ~~~」
中居「いや、ほんっとにこれ、全く謙遜してるわけじゃないですけど」
これはウソは言ってないと思います。中居くんとキムタクさんの活躍の大元は徹底した準備だと聞きます。努力の人。
ただし、白鳥のバタ足のように中居くんの準備の量は半端ないけれど、白鳥としてはそんな自慢話に向くような展開は絶対に持っていかない。「日頃努力してることを見せない努力」までしていると言われる人なので、こういう話題になるとどの番組でも必ず、笑い話に持っていく or ひな壇の他のすごい人に焦点を当てる のどちらかに回避します。
今回は明らかな芸能界の後輩なので、前者(笑い話)を選択。 会話を追ってみます。
中居「才能があったら、もちろん同じように努力しないですから」
石田「でも、わたしたちモーニング娘。って、新曲が出る時に2回くらいのレッスンで振り付けを憶えるんですけど、SMAPさんとかって、その日に憶えてその日にもうなんかビデオとか撮っちゃうって聞いたんですけど」
この質問への切り返しから、中居くんの小話がスタート。
中居「はい、そうです」
石田「それも素晴らしい才能だなと思いました」
中居「レコーディングはだいたい7分くらいで一曲終わります」
娘。一同「えーーー!!!!!」
これは中居くんの定番ネタみたいなもので、実は答えがあります。 【何回歌っても変わらないので1テイクでOK】 というのがホントの理由で、以前に別の歌番組『ザ・ミュージックアワー』(『うたばん』の後継番組)にSMAPが出演した時に石橋貴明の前で行われています。
……石橋は「21曲もあるのに1週間で終わったの?」と不思議な様子。しかし、この会話を聞いていた稲垣吾郎がキツイ一言を。「中居君の場合、毎テイク何十回歌ってもだいたい同じ…」 これには中居も「こらぁ!!」と怒り爆発。ここですかさず稲垣が「毎回、同じ事が出来る」とフォローしていた。 |
吾郎ちゃんのイジリありきのおなじみのやり取りを一人でサラッと流してるんですよね。だから、知らなければただの会話として受け取ってしまいそうになります。
というか、中居くんの生声で歌詞をなぞればそれが正解音だといっても過言でないと思うんですよね。耳触りの悪い部分は加工することもできます(ということをつんく♂Pが『つん倶楽部』で結構言ったんだけど、自分のことだと思ってない子が多かった気がします。笑)。
だから、中居くんの言う「7分で一曲終わります」はウソではない。ただし、「下手だから7分で終わる」という正解が用意されているのに「上手いから7分で終わる」という風を装う、というフェイクを入れた割と簡単なジョークです。
こんな即興コントの設定で、中居くんから少しずつヒントが与えられていきます。
【ヒントその1】
中居「これは才能かな」(「ん、どうした?」みたいな顔)
額面通りに受け取って驚く娘。たち。
工藤(ガヤ)「才能ですよー!」
道重「他のSMAPさん全員ですか?」
中居「他の奴らは才能無いからダラダラやってんじゃない?」
ドッと笑う娘。たち。けれど、この時点で笑い方に違いが出ています。
- 仕掛けに気づき、ひざをバシバシ叩いて大喜び → 鈴木
- 冗談めかして強気に言っているようなので雰囲気で笑う → 生田・石田
- 言い回しが怖くて苦笑い → 譜久村
- 「……」 → 佐藤
即興コントは続きます。
道重「(他のメンバーは)録る場所(パート)が多いんじゃないですか?」
【ヒントその2】
中居「違う違う違う、なかなかオッケー出ないからじゃない? 俺の場合2回くらい歌えばオッケーだから。」(平然とした顔をキープ。ある意味コント顔)
工藤「すごいですね!とてつもない才能じゃ……」
- 何となく察してきた表情 →道重・飯窪
- 面白おかしく言っているのは分かるが凄みを感じている →鞘師・小田・工藤
そして、中居くんからのオチ。
【ヒントその3】(≒種明かし)
中居「そこは努力しないから、ま、才能かな」(悪そうな顔) *2
中居くんの種明かしは「下手だから」と直接的には言わないのだけど、逆に明らかなウソを言うことで同義となります。この時点で何となく面白おかしいことを言っているのは誰でも分かる状態となりました。
その結果、、、
- 仕掛けに気づいた → 道重・飯窪
- 中居くんのドヤ顔が面白くて雰囲気で笑う → 鞘師・工藤・小田
- すでに気づいてるのでおかしくてしょうがない → 鈴木
- 中居くんのドヤ顔に愛想笑い → 譜久村・生田・石田
- みんなの空気を読んで愛想笑い → 佐藤
10%と笑い屋
こんな話があります。
お笑い番組では多くの場合、BGMのように笑い声が挿入されます。スタッフだったり客席のいわゆる「笑い屋」だったり、特定の人たちが然るべきタイミングで笑って、面白い場面が曖昧にならないよう白黒つけます。これは「面白いもの」を際立たせるプレゼンテーションのテクニックなのですが、テレビに関心が薄い人には「やらせ」と嫌われるポイントの一つにもなっています。
では、なぜこういうテクニックが必要なのでしょうか?
その答えを、昨年、現役のトップランナーが的確に答えて、お笑いファンのみならずネット上で大きな話題となりました。
車で矢印信号がでるまで曲がれない人がいるように何処で笑えば良いか分からない人が約90%いると言われています。あっ。思っています。 “@00Omniverse: @matsu_bouzu 松本さん!! 何でお笑い番組は笑い声を足す演出を辞めないのですか?”
— 松本人志 (@matsu_bouzu) 2013, 6月 5
補足。。。寄席の客はすで観に来てる時点で10%よりの人ね。。。後。テロップで逆に笑えなくなったんならテロップつけた奴が90%よりの人かもな。。。
— 松本人志 (@matsu_bouzu) 2013, 6月 5
松本理論では、面白いかどうか分かるのは10%だそう。
たぶん結構いい数字。シュールなコントや、5分以上の漫才は、やはりある程度見慣れている必要があるからです。例えば、『M-1グランプリ』に優勝した笑い飯の漫才は、奇抜な表現で好き嫌いが分かれますが、組み立ての似通ったやすしきよしを知ってる人は同じ場面でドッと(松ちゃんが言う「信号」が無くても)笑います。でも、M-1視聴者の中には仕組みを知らなくても段々と言い争いが盛り上がっていく様子が好きだという人も沢山います、というか、むしろそちらの方が多いです。
だから、実は大多数の人たちが笑いのテクニックではなく、言い回しや顔つきや雰囲気で面白いところを察する「同調の笑い」だと思うんですよね。
寄席に足を運んだり、よしもとの劇場に足を運んだりドリフのコントをわざわざDVDで見るなんていうのも10%寄りの人だと思うのですが、それくらいのお笑い好きをテレビ視聴者全体との相対で数字に置き換えると、松ちゃんの言う「10%」という線引きは結構イイ数字かもしれません。
で、その考え方を中居くんの小話に対する娘。メンバーの反応に当てはめると、松ちゃんの言う「標識」が無くてもタイムリーに面白いことが分かるのは、やっぱり好きで見ている10~30%くらいなのかなあと思います。
ちなみに、上に書き起こした中居くんの話は、はじめからオチまで20秒ちょっと。かなり高速で走る道路で標識を見つけてアクセルとブレーキを使わないとカーブを曲がれません。が、バラエティの世界で息の長いレギュラーになるには、この10%に入る運転技術が必要になります。
補足
補足なんてするとかえって失礼だとは思うんですけれども。。
中居くんが歌がヘタと世間で知られるようになってから、「ド~ミ゛~ゾ~」とわざと分かりやすく音程を外す小ネタを挟むようになりました。でも、本当はそんな絶望的に下手なわけでないですよね。昔、Kinki Kidsがバックについていた頃に中居くんのレコーディングの集中力に感銘を受けたというエピソードを明かしています(参考: 【LOVE LOVE あいしてる】 ゲストとのLOVE LOVEなトーク #150 中居正広(SMAP)編 )。
当然ながら、中居くんの歌が大好きなファンは沢山います。2003年の『世界に一つだけの花』もさることながら、同じ年のライブで「この後お聞き苦しい点があります」みたいな前置きを挟んで歌い始める『トイレットペッパーマン』は、ラップからロックもバラードも盛り込んだ楽しさいっぱいの一曲で会場全体がめちゃくちゃ盛り上がっていました。
プロデュサーを担当した舞祭組にもその楽しさが引き継がれていますよね。『Mステ』で舞祭組が歌披露した際、参加したファンについて「ヲタ芸がすごい」とTwitterを賑わせましたが、中居くんの楽しさのイズムが伝わっていて痛快でした。
そう考えると、逆に1テイクであることに価値があるのかもしれません。
ともあれ、娘。たちがバラエティの現場で、このようなトークに触れたのは良い経験だったのではないでしょうか。良い目標が出来ました。
成長のゴールは吾郎ちゃんと同じタイミングでツッコミを入れられるところだと思うので、道のりは長いですのが。笑
バラエティでもフォーメーションを組むべし
話を少しさかのぼって、香音ちゃんの変顔ものまね披露の場面へ戻ります。
準備を問われた娘。たち
事前に中居くんからちょっとした「確認」がありました。
中居「見せてもらった方がいい? みんなに確認するけど」
これ、質問の意図を誰もとらえられてなかったのだろうなあと思いました。
× 「鈴木香音の芸は大丈夫?」
というのは表向きで、実は一瞬の空気を察して、
○ 「皆さんの準備は大丈夫?(盛り上がれる?)」
という確認があったと思われます。
もうちょっと巻き戻すと、「NGが無い」と発した瞬間、他のメンバーはNGな顔を隠せずにいたんですよね。
鈴木「……アイドルなのにNGが無いんですね」
譜久村・生田・石田・佐藤「……」
中居くんはこの一瞬で察知していたんだと思います、「この顔は実績不足だ」と。
なんで「ペリー」はOKだったの?
2年前の『ブラバラ』でのヒット作「ペリー」と比較すれば明確です。これも録画を持っている人は見直してもらいたいんですけど、、、
鈴木「お笑いが大好きなんです」
新垣「モノマネとかスゴいするんですよ」
香音ちゃんが言い終わるや否やのガキさん!
中居くんが「大丈夫?」と訊く間を与えず後押しをしているんですよね。この一瞬がすごく大事だったと思うんです。そしてガキさんの後押しとともに、ぜひ見て欲しいとばかりにうなづく一同。なので、中居くんは確認する必要もなく「じゃあ、まず見せてよ」と次に進行しています。
その「ペリー」から2年。中居くんはこの時の収録自体は細かく憶えてはいないかもしれませんが、『ブラバラ』のプロデュサーが非常に気にかけてくれていたので、「モー娘。の若手は元気だ」という印象ぐらいはあったと思います。
だからこそ、その子たちの心配顔は尋常じゃないと察し、スベってもウケても何らかオチをつける材料として、一言挟んでフリをつけておいた(例えば、スベったら「大丈夫じゃないじゃないか」とツッコんだり)。そんなところだったんじゃないかと思います。
たまたまリリーさんが笑うというオチがつきましたが、それが無かったとしたら、ここで中居くんが何か言いかけていたので、どんな救済策が用意されていたのか見てみたかったですね。意地悪な発想ですが、その点は若干心残りだったりします。
ウケないのはネタがスベってるから、、だけではない
とはいえ、やはりあのネタのクオリティは、変顔が行き過ぎていて笑って良いものか分からず固まってしまいます。でも、変顔が妨げになっているかというと、実はそうではないと思っています。
それは客観的に「ペリー」と比較すると気付くのですが、いざ中身を見てみたら、初見の人にとってはさほど変わらないと思うんですよね。
「はい♪」
「続きまして~♪」
テレビという不特定多数に見られるメディアで大切なのは、初見の人を意識するということです。
だから、逆に「ファンが離れる」とか「かわいいのにそんなことして欲しくない」といった、香音ちゃんを見たくて見ているファンによる「べき論」はいったん置いて話を進めます。
初見の人に対して「変顔」が問題であるとするならば、実は「ペリー」も大いに問題ありだったんですよね。でも、国民のお馴染み加護ちゃん辻ちゃんから変顔を続けて十数年のモーニング娘。のメンバーが「変顔できます」と言った以上は、これくらいやらないと「あー、アイドルのかわいい変顔ね」程度で憶えてもらえないんで、これはチャレンジとしてアリなんじゃないかなと思えてきました。
では、「ペリー」との差は何だったかというと、顔で笑わせるのかと思いきや「貿易する?」というユーモアをスパイスにして笑うきっかけを与えてくれた点にあります。変顔というフリと貿易というオチのワンセット。逆に、変顔で振っておいてオチの言葉がなければ、笑う場所が判らないので、そりゃあ、リリー・フランキーもオチ待ちで口が開きっぱなしになるという話です。
では、どうするか。
一つは、中居くんのアドバイスに従って、3つ重ねてオチにするという工夫で 型 が出来ます。
「りんご(静止画)」→「トイレ(静止画)」→「みかん(動画)」
更に明示的に、「続きまして」「そして最後に」「以上です!」と展開のメリハリをつければ、笑いなり拍手なり 視聴者に行動させるきっかけを与えることができるでしょう。
でも、これが面白いのかどうかと言われたら、シュール過ぎて伝わらない人にはきっと伝わらないですよね。中華で珍しい食材を出されて、それがフォアグラのように濃厚でまったりしたものだったとしたら、見た目次第で「旨い」と「不味い」は紙一重です。
そこでもう一つの工夫が必要だと思うのです。
バラエティのフォーメーション
そもそも「ペリー」が何故安心して笑えたかと言えば、2012年の春ツアーのMCで披露してウケた実績があるというのが非常に大きいです。だから、ガキさんも安心だったし、メンバーも楽しみで、その様子から楽しさが伝わってきて、笑いも聞こえてきて、そうして見てるうちに面白くなって、結果、中居くんの感想は「嫌いじゃない」でした。
これって、とても良いチームプレーだったと思いませんか?
一方、変顔モノマネは実績が無い、メンバーも不安なので見守るしかできない、面白い雰囲気が伝わってこないので笑いも起きない。この状況で笑いを生むのは至難の業です。プロでも周りが心配顔をしていてはウケるものもウケないと思うんですよね。
しかもシュールで笑いどころが分かりづらい芸です。上で言うように、笑いが分かる客は10%しか居ないとなると、残りの大多数の笑いを生む楽しい雰囲気を作らずして大勢の笑いは取れないですよね。
あらためて初見の人を考えて話をすると、あの場面、メンバーに笑ってもらえてない子が一人で芸をしている、メンバーが笑ったきっかけはリリー・フランキーが笑ったから、という様子を見たら、「あー、この子はスベりキャラなんだ」となるはずです。でも、そういう位置づけでネタ披露に臨んでいるわけではないですよね。
中居くんは面白くさせようと工夫した、リリーは笑ってくれた。その間、メンバーは何をしていたかというと、『みかん』の後に笑ったのは工藤だけで他はシーン……「心配していた」なんですよね。何か役割の違いを感じてしまう。心配するのは心配症のファンだけで充分なはず。
その違いが何なのかを明らかにするために、二つの質問を用意してみました。バラエティ番組に臨む際、この共通認識がとれていれば行動は変わると思うんですが、、
「(A) 誰を」笑わせるのか?
「(B) 誰が」笑わせるのか?
「(A) 誰を 」笑わせるのか?
中居くんがホストの番組ですが、「お客さん」は誰かといったら、モーニング娘。'14……ではありません。笑わせる相手は視聴者ですよね。
テレビではなくコンサートのステージにゲストが来た時を想像すれば分かりやすいと思います。ゲストが演目を披露する時、見せる相手はホストじゃなくて観客席のお客さん(=テレビの前の視聴者)に見せます。ホスト役はお客さんに楽しんでもらうために出来るだけの協力をします。三段オチと考えてくれた中居くん、好意的に笑ってくれたリリーさんはいずれも至極真っ当な行動でした。ではその間、舞台上のひな壇にいた他のメンバーは何をしていたか。それが(B)の議論になります。
「(B) 誰が 」笑わせるのか?
演目を行っているのは香音ちゃんですが、お客さんに最大限笑ってもらうために行動するのは、舞台上にいるすべての人が該当するんじゃないでしょうか。基本はずっとハロコンでもやってきたことです。今年からは座らずにずっと踊り続けています舞台上の演者を全員で盛り立てて、コンサート全体を盛り上げる工夫になっていますよね。
だから、一緒に笑ったり、ガヤを入れたり、中居くんがやってくれたように「続きまして」と合いの手を入れたり、「うちのズッキは面白いでしょう」という雰囲気作りが何か必要だったと思うんです。でも、当日のスタジオには目に見えるお客さんが居なかった。だから焦点をしぼる場所を見失ってしまった。結果、自分たちが観る側になってしまった。そのような状況だったのだと思います。
他のアイドルだとバラエティで盛り上がるノリを先に強化するグループもあります。視聴者に印象付ける自己紹介と一発芸を必須にして、周りのメンバーも学生サークルの飲み会のように盛り上げられる子ばかりが集まっていたり。時にグループの内輪ノリにもなりますが、バラエティで一声欲しい時にリアクションを取る訓練がなされているので勘が良ければバラエティタレントとして重宝されます。
「笑い屋」になる必要はありませんが、何か面白いことをやっている時に楽しそうでないアイドルって、一般視聴者の常識からすると寂しく思われてしまう気がします。
ですので、そうならないように、事前に内々で一度ネタ見せをして、モーニング娘。'14としてこれで行こうと納得できるネタを披露する。そしてみんなでウケたことを喜ぶ。
わたしたちが望む理想像は、お笑いの芸が達者なアイドルではなくて、面白いことをやって楽しそうにしているモーニング娘。のトータルの姿。
一人で歌番組に出られないほどのスキルはまだないので、フォーメーションダンスで勝負している娘。さんたちです。一人で漫談するようなお笑いの芸を持ちあわせてなければ、歌と同様にフォーメーションを組んだら良いと思うのです。
圭ちゃんや麻琴っちゃん、亀ちゃんは準備不足で行き当たりばったりや無茶ぶりも多くありましたが、周りは爆笑でしたよね。
バラエティ出演で黄金期を築いた人たちは、テレビ出演時の「フォーメーション」の面で、やはり一日の長たる実力があるのだなあと思います。
この人たちをライバル視するのなら、やはり近道は無くて、この人たちが出来ていたことを一個ずつこなしていくしかないと思います。
ゴールデンへの挑戦
さて、昨年来、いわゆる「黄金期」を意識したエモーショナルなプロモーションを続けてきました。現在募集中の12期オーディションも「黄金(ゴールデン)オーディション」と銘打ち、いよいよ待ったなしの状況が来ているように思います。
先日のインタビューでこのようなやり取りが見られました。
記者「今回、曲名にも『超え』とタイトルにありますが、モーニング娘。はこの先、何を『超え』て何を目指したいですか?」
道重「そうですね。やっぱり、こう、私が入った11年前の先輩たちを超えてみたいって思いがあるんですけど、私がモーニング娘。になろうと思った時は、クラスの女の子たちみんながモーニング娘。になりたかったんですねなので、今、学校とかで沢山話題になって、『今オーディションやってるよね』『みんなで受けようよ』って言って話題になるようなアイドルになりたいと思います」
記者「そのためには何が足りない?」
道重「……なんだろうなぁ」
マジで困った顔を見せる道重さん。すると、後ろから飯窪さんが声をあげます。
飯窪「はい。個性だと思います」
道重「ほぉ」
飯窪「先輩方はすごく個性が強かったイメージがあって、それはもう、保田さんとかホントに個性が強くて、みんながみんな顔を見て名前が一致したと思うんで、私たちももっと個性を強めていって、バラエティとかで目立っていけたらいいなって思います」
「56thシングル「時空を超え 宇宙を超え/Password is 0」発売記念ミニライブ&握手会」(2014.04.16 @池袋サンシャインシティ)のプレス会見にて
道重さんの表情を見て、前に出なきゃいけないけれど悩んでる、、という状況が伝わってきました。一方の、飯窪さんが出した「個性」という言葉、これがキーワードになりそうです。
「個性」をなんとか発揮したい
評論家肌の飯窪さんの説明です。この「個性」はおそらく間違いないんですよね。しかしながら、それを発揮するためのやり方が分からないのが現状です。 *3
今のメンバーは昔に負けないくらい個性豊かである。これは多くのファンが思っているところです。ですが、個性があることは必要条件だけれども、それが必ずヒットにつながるとは限りません。
お笑い芸人にも「飲み会だったら無敵なのに」という人は沢山いますが、実際に売れていない現実があります。わたしたちの身の回りにも「やれば出来る子」だのたまう子供がいるかもしれません。その先にある、「売れるように動く」「出来るまでやる」ことの難しさが壁なんですよね。
すなわち、個性を持つということは条件の半分で、もう半分は「個性のアウトプット」です。個性を「見せること」「伝えること」が出来るかどうかが、正に今問われています。
その点において、現時点で、不器用ながらも「見せること」を実践できているメンバーがバラエティでのオンエアを勝ち獲っている気がします。具体的には、生田・鈴木の両名。ネタの良し悪しは別として、結果を出しています。
個性を引き出すテクニック:10秒の勝負
採用されている生田と香音ちゃん、なぜ結果を出せるかというと、不器用ながらも相手の欲しい時間内に型が収まるという強みがあります。モノマネは10秒程度、魔法に至っては5秒で相手にバトンを渡すことが出来ます。
逆に、器用なのに不採用になっているのが小田ちゃん。昨年の『アノ人たちの作り方~なぜこうなった!?ファクトリー~』で披露したお得意の「エモーショナル童謡」ですが、残念ながら本編には入らず、未公開映像として総集編で採用されました。これは『はとぽっぽ』を3×8拍子歌うだけで30秒近くかかってしまって、いつも勿体無いなあと思っています。
『アノ人たちの作り方~なぜこうなった!?ファクトリー~【注目の人物総まとめSP】』(2013.12.18放送)
アメスタで生まれた小田ちゃんの「R&B童謡」、ネットサイズから10秒以内くらいのテレビサイズに収めてオチがつけられれば生田の魔法と二本柱でイケるよなあ。童謡の曲数分、ネタがあるもんなあ。
— もかまっちゃ (@_mochamacha_) 2013, 12月 18
今回、『Sound Room』のオンエア時間は全部でだいたい15分くらいでした。台本の骨組みで区分けして3~4分くらいのトークスペースの中に話の流れを作るとなると、会話1~2往復くらいで済むような小さな「ネタの玉」みたいなものをひねり出しておかないと、後で編集で料理できないのですよね。
この「玉」がどれだけ収録できたか、これが上であげた「撮れ高」になります。このサイズを考えるとネタを話す際の1回のターンは10秒以内でないとやはり厳しいのかな、と。
この10秒、つんく♂Pが2年前に語ったことを思い出すと、何となく通じたものを感じます。
握手会をやる理由
2012年8月、当時、ちょうど握手会の是非が語られていた頃でした。
堀尾正明「AKBにライバル心みたいなのありますか?」
つんく♂「まあ、秋元さんにしてやられた感はねぇ」
関根麻里「うふふふ」
つんく♂「あとはスゴいのは、あの子たち(AKBメンバー)自体も、ハローがどーんといた世代の真裏でハロー落ち組も沢山いて、秋葉原で、まあ下積みもあったんで、やっぱりあのマンツーマンで日頃からファンの皆さんと接してたからトークが上手いんですよ」
堀尾「はあ~」
つんく♂「そういうのを憶えていったワザがあるから、テレビに出てきても喋れるんですよ」
堀尾「たしかに。総選挙のコメントなんかめちゃくちゃ上手いですもんねえ」
つんく♂「バラエティのアドリブもパッパッと」
堀尾「出来るし」
つんく♂「そうですね」
堀尾「なるほどー」
つんく♂「ただモーニングも、初期組は同じように何も無いところから上がっていったんで、上手いです」
『誰だって波瀾爆笑』(2012.08.05放送)
直接人に話す経験をカメラの前で活かす。これをつんく♂Pはやりたかったと言っています。
道重体制の『One・Two・Three』のプロモーションから本格化した握手会イベント、個人的にとても反対だったのですが、このような訓練のための短期的なものなら、、と気を諌めた記憶があります。 *4
テレビでのトークは、ライブやイベントのMCとはちょっと違う脳を使う必要があります。わたしは個別握手会に参加したことはありませんが、Twitterで時おり印象的な言葉が見かけては、そんな会話をするのかと感心させられます。瞬発力を鍛える反復訓練はしているのですよね。
あとは「ファンではない人」の印象に残る言葉を準備をした上で、訓練通りにとっさに動ければいいんですが。
個性を引き出すテクニック:価値の連鎖
とはいえ、個々のメンバーの個性を考えると、中には10秒ではとても表現できないものもあります。フクちゃんの人柄や鞘師の生真面目さを殺してまで、つまらない一発芸をわざわざ身につけて価値をお安くしてしまう必要はありません。
そういったメンバーは、一発で仕留められる個性的なメンバーと絡むことで自身の性格を表現することができるのではないかと考えます。
同年代が集まる今のメンバー構成は、密な人間関係の宝庫です。「ツッコむ」「とめる」「うながす」「なだめる」「スルーする」といった、様々な関係性が日頃からブログ上で沢山見受けられます。それを活かして、自らカメラに映りに行くのではなく、カメラに映っているメンバーの隣で会話を連鎖させ、カメラにパーンさせることが出来れば人となりを現すことが出来るのではないでしょうか。
これが実現できると、おそらく歌の前列・後列がちょうど逆の立場になって、役割がより明確になって面白そうなんですよね。
さて、この連鎖、すべてのメンバーがつながれるようであれば、「最も個性が世に知られているメンバー」をターゲットにすることで最大限の効果を発揮します。
そう、道重リーダーとからむことです。
「道重さんは素晴らしい」の功罪
現在、道重リーダーとからむパターンは一種類のみです。
上の書き起こしをコピペしてきますね。
道重イジリ
(略)
中居「で、道重さんが、この中でもボスになるんだ」
飯窪「いや、ホントに素晴らしいボスです」(突然入ってくるとBGMが止まる)
中居「『世の中には私以外に可愛い人なんか居ない』ってキャラをずっとやってたじゃないですか」
飯窪「いや、それは事実ですからぁ。かわいいのは道重さんがNo.1っていうのは事実なんですけど」
中居「周りもそう思ってるってこと?」
娘。一同「(一斉に)思ってます」
中居「……いやいやいやいや」(大仰に左右に手を振る)
娘。一同「(一斉に)いやいやいやいや!」
飯窪「本当に思ってますよ」
中居「そんなこと言ったら、みなさんだって可愛いじゃないですか」
工藤「いや、道重さんがやっぱダントツにかわいいです」
飯窪「隣にいたらちょっと(困ってしまうくらいかわいい)」
リリー「完全に制圧してますね」
このパターン、残念ながら、視聴者からすると「あの道重が慕われている」という印象以外、何も残らないのですよね。
黄金期を狙うことを掲げて「先輩を超える」ことをコンセプトにしてきましたが、まず、【一番身近な先輩】を超える気配がない、、、というのは意地悪な見方でしょうか。
でも、自分の個性を見せるためには道重さんとからまない手はないと思うのですが。。
世間の中の『道重』という人
もはやハローのファンから女神のように崇められる道重さんですが、彼女ほど知ってる人とそうでない人とで印象にギャップがある人物も珍しいと思います。
おそらく、直近で、世間の分かりやすい評価はこれではないかと。。
「女性ひな壇スタメン7番」
『ブラックバラエティ』(2012.04.29放送)
「7番(打者)」。アイドルタレントとして、正統派でも主要メンバーでもありません。
その後、「ももちと入れ替わりで出演機会が減った毒舌のバラエティタレント」として、世間の記憶は止まっています。
リーダー就任とともに緩やかなキャラ変がなされて今に至りますが、その様子を知っているのは、能動的にYouTubeを追っている人か、少数寄りの芸能通くらい。何度かYahoo!ニュースに「道重伝説」が掲載されましたが、自分の情報収集を考えた時、Yahoo!に載ったことをすべて把握してるかと言われると、そんなに追いきれてませんよね。
あまりこの場で書きすぎるのは気が引けますが、「そんなに典型的なかわいさではないのに『1番かわいい』と言い切る勘違い」を貫いたからこそ、彼女はテレビに求められたのですよね。スベリ芸人がもてはやされたのと同じような「ズレ」の需要に乗ったタレントさんなのです。おそらく、当時、「道重って頭いいかも」と思ったのは、『言語遊戯王』(2010.01.03放送)で強烈な時事ネタをぶちこんだのを目撃したお笑いサブカル好きくらいだと思います。
だから、つまり(怒らないで聴いてくださいね)、「道重さんは素晴らしい」と語る人は世間では「道重以上にスベってる人」と見なされます。
これ、アイドル以外に置き換えると分かりやすいかもしれません。
お笑いファンの中では圧倒的に話術が評価されている人を挙げてみます。例えば、南海キャンディーズの山里亮太。彼を次世代で活躍する演者の一人と目するお笑いファンも少なくありません。そんなお笑いの世界のコアな意見が表に出るとどうなるか。そんな状況に似てると思うんですよね。
例えば、山里さんに師事する若手が集まったとして、「山里さんは素晴らしい」と山ちゃんのアピールばかりを続ける若手芸人が9人ずらりと並んでたとして、それを見たお笑いに興味が無い人が、「おお、この芸人たちは次世代のお笑いを背負う人材だ」「彼ら9人でバラエティ番組を作ったら視聴率20%間違いなし」みたいな評価が得られるでしょうか。たぶん、「ふーん」としか言えないと思うんですよね。やはり、その9人のネタを見ないと判断は出来ないと思うんです。
同様に、道重さんを慕うことは後輩として必要ですが、バラエティの世界で伸び悩んだ「7番打者」よりも強力な打撃も見せる必要があります。
きっと、それが難しいので悩んでるのですけどね。。
でも、それは具体的には、ちょっとした言い換えができれば格段に変わると思っています。
× 「道重さんは素晴らしいので敵いません」という否定文
○ 「道重さんは□□が素晴らしいですが、わたしは△△が出来ます」という肯定文
これにより、「道重さんの話」ではなく「自分の話」を(あるいは「道重さんの話+自分の話」を)することが出来ます。
あるいは、部分否定でもいいです。
○ 「道重さんは○○が素晴らしいですが、こと、××については私は**だと思います」という部分否定
たぶん、「道重さんより勝ってること」を自慢気に話すのは、いきなりハードルが高いので、後者のほうがやりやすいでしょう。
こうすることで、パターンががぜん増えていきます。
コントのすすめ
難しい理屈をこねましたが、意欲は抜群なメンバーたちなので、コツをつかめば勢いでいくらでも行けそうだと楽観しています。
そのために、どうするか?
「モーニング娘。」自体を設定してみる
実は答えは簡単で、ツラい思いをしないよう役割をつけてしまったら、すぐに上手くいくんじゃないかと思っています。それは 【コント】の設定です。
個々のキャラ設定に困るなら、まずモーニング娘。'14に設定をかけて、その中の役割をやり切ってみてはどうでしょうか。下克上とか無礼講の設定でコントを一本やってみたら、すぐにノリや要領をつかめると思うんですよね。基本的に器用な子たちなので。
現に、これに何かもう一つセリフを加えたら、できるような気がしませんか?
4,5,6期がコワモテの先輩たちに何か言えるようになるきっかけもやはりコントのノリからでした。
「挑戦それは… 先輩を追いぬくこと!」
「おばちゃんじゃねーよ!」「おばちゃん!」
「ちょっと、待ちなさい!」「もたもたすんじゃねえよ、行くぞっ」
「オニヤンマつかまえちゃうぞぉ」
いつの間にか、圭ちゃんの卒業セレモニーで、愛ちゃんが「おばちゃん」と呼ぶようになっていて、あればたぶん設定を使って親しみをこめてみた結果だったと思うのですが、そのおかげで近い距離で接することが出来ました。
フォーメーションダンスに注力した9,10,11期がレッスンや本番を重ねる毎にお互いを知っていったのと同様、テレビの仕事の配分が大きかった彼女たちにとって、テレビの中での企画で何かに挑戦したりコントで息を合わせることによって、お互いを理解していきました。
器用な反面、真面目でいい子すぎるとこもあるので、そういう「無礼なことを言わなきゃいけない」という設定を与えてやらないと 頑固なまでに出来ないような気がします。
普段は実は人見知りだったりする彼女たちですが、スタジオで新曲の宣伝をしたりする時は勇気を持って声を張ります。これも一つの「設定」ですよね。それはちゃんとやる。だから集団の設定を与えられればフォーメーションダンスも揃う。
そういう子たちには、やはり何らかの【きっかけ】は効果が高いと思うのです。
段々とコントの 画 が見えてきました。
「道重」=「○○」
更に、期は熟したと見られている象徴的な質問をされています。
道重「私がデビューしたのが11年前なので、もしかしたら私がデビューした後に生まれた子が入ってくる可能性があるんで……」
記者「(年齢も)もうすっかりって感じですよね」
道重「すっかり何ですか?(笑)」
現場全員「(笑)」
飯窪「でも、こんなかわいい24歳いないと思います」
道重「出ました。太鼓持ち~」
『めざましテレビ』(2014.04.17放送)
『めざましテレビ』では途中の笑いでカットされていますが、インタビューはこのように展開していました。
道重「私がデビューしたのが11年前なので、もしかしたら私がデビューした後に生まれた子が入ってくる可能性があるんで……」
記者「(年齢も)もうすっかりって感じですよね」
道重「すっかり何ですか?(笑)」
現場全員「(笑)」
記者「一時期の中澤さんのようになっちゃってるわけですよね」
道重「そうですね。立ち位置的にはそうですね」
飯窪「でも、こんなかわいい24歳いないと思います」
道重「出ました。太鼓持ち~」
めざましは重要なところをカットしていたんじゃないかなあと思います。笑
世間の方から 「道重」=「中澤」 の構図を切り出してくれたら、コントするには相当面白い条件が揃うと思うんですよね。リーダー就任当時からの「朝は必ず『今日もカワイイですね』と言うルール」をしばらく引っ張ったからか、「道重リーダーの言うことは絶対!」みたいな面白おかしい解釈もなされていそうです。
よく見ると、「すっかり何ですかぁ?」と切り返す角度も往年の「闘将・中澤裕子」をなぞらんばかり。この状況を使わない手はないと思いますねえ。
※こういったお話を、ずっと以前から、順不同に書いてきて、新曲のプロモーション前にpostしようと思っていたのですが、まとめるのに難航しておりました。そうして遅れた結果、新曲のプロモーション出演の頭で、ちょっとした萌芽が見えたような気がしたので、尻すぼみになりますが、その様子をご紹介して当postはおしまいとします(こんなことが出来ちゃうなら、上に延々と書いた説法は意味が無くなっちゃうのですよね……涙)。ここまで読んでいただいた方がいらしたら、本当にありがとうございます。
※【これ(↑)が分かりづらいので追記】日テレというと、トーク番組でもがっちりと台本を組むことが特徴だと噂に聞いたことがあります。評論家にオファーしながら評論の内容がすでに台本に刷られているのだとか。先日もさんまさんの進行にさえ一言一句台詞がふられていました。『エンタの神様』で芸人さんのネタにテロップをつけたり、局の独特の文化のようです。何が言いたいかというと、以下のやり取り、自然に見えましたがおそらくかっちりとした台本が組み上がっているものと思われます。「コントに見えないコント」と言えるでしょう。
直近の娘。さんたちの「設定」
『未来シアター』(2014.04.18放送)にて、おもむろにこんなやり取りが展開されました。
羽鳥「何かリーダーに一言 言いたい人いますか?」
加藤「こんな機会だからね」
小山「ある?」
石田「はい」
羽鳥「石田さん」
石田「はい。あの~ 道重さんは鞘師里保さんのことが大っ好きなんですよ」
羽鳥「鞘師さん」
石田「特に大好きで」
道重「うん、みんな好きだよ」
石田「で、周りのメンバーは「その他」みたいな!」
道重「そんなことないよぉ~!!」
全員「(爆)」
鈴木「私もそういうのあるんですよ。私とかも、道重さん以外の9人と若干シルエットが異なる部分があるとは思うんですけど(立ち上がってその場でクルッと一回転しながら)、それでも!それでも!同じように可愛がっていただきたいんですよね」
そして、道重さん(≒中澤さん)の返し。
道重「分かった。そうしたら、あと5kg痩せたら可愛がってあげる」
もしかしたら、ここから壮大なコントが始まるかもしれませんよ。笑
◆ ◆ ◆
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*1:『Sound Room』はこのpostを書き始めた頃に終了が発表され、リンク先の本格的な音楽番組『ARTIST』とともに3月で役目を終えています。
*2:ここ、番組の連携がとれてるなあと思ったんですが、中居くんのドヤ顔がスッとアップになるんですよね。バラエティでよくあるんですが、カメラマンが笑うところだと察知した時に自発的に行います。『めちゃイケ』や『ロンハー』などを担当する辻カメラマンが第一人者だとか。こういう阿吽の呼吸が取れる現場って、作りたい番組の方向性が一致してないとなかなか難しいと言われています。
*3:記者が訊きたかったのは、これから超えるために何をするかという「具体策」だったような気がするんですけどね。結果的に、それについては「まだ無い」と回答出来たわけですが。。
*4:結果、やめられないイベントになってしまいましたが……。でも今でも反対です。握手の是非はまた他の場で。