Juice=Juiceの土ドラ『武道館』のプロジェクトを妄想してみる
Juice=Juiceがフジテレビのドラマで主演!? そんな降って湧いた知らせに、界隈は大きな騒ぎの一日になりました。
内田アナ「つんく♂さんが、来年放送のフジテレビの連続ドラマ『武道館』に登場するアイドルグループをプロデュースすることが分かりました。武道館公演を目指すアイドルグループ「NEXT YOU」の奮闘を描くドラマで、つんく♂さんが実際にプロデュースし、一昨年デビューした5人組Juice=Juiceがメンバーを演じることに。つんく♂さんは、「武道館を目指して頑張るのは、僕も大阪のアマチュアバンド時代に同じような思いだったので、とてもワクワク」と意気込みを話しています。」
/『めざましテレビ』(2015.10.08放送)
主に若い人をターゲットする土ドラ枠だそう。
気鋭の若手作家・朝井リョウの話題作『武道館』があり、最近世間で話題となったつんく♂が居て、そしてつんく♂が『武道館』の帯を書いている。そんなつながりから旬な話題をサッと掬い上げる、この枠らしい企画です。
Juice=Juiceドラマ『武道館』の特徴
早速、フジテレビ公式サイトにも情報がアップされていました。
- 土ドラ『武道館』 - とれたてフジテレビ(2015.10.08更新)
この内容が何やらやたら詳しくて驚きました。気になったことを幾つかピックアップしてみます。
「Juice=Juice」と「NEXT YOU」が同時進行するメディアミックス
ちょっと古い言い回しかもしれませんが、番組の中のキャラクターと実在のグループが共存する、いわゆる「メディアミックス」が行われる模様。
一方、主役のアイドルユニット“NEXT YOU”を演じるのは、連続ドラマ初主演となる実在アイドルの“Juice=Juice”。“Juice=Juice”も実際につんく♂が立ち上げたユニット。ドラマ撮影期間中及び放送期間中は、彼女たちは“Juice=Juice”として稼働しつつ、“NEXT YOU”としても実際に稼働する。ライブ・握手会・テレビ出演・動画配信など、あらゆる面で虚実ないまぜのアイドルとして存在する。また、実在する現役アイドルたちや、つんく♂氏をほうふつとさせるプロデューサー役も登場し、アイドル界の裏側をリアルに垣間見られるドラマとなる。
|
これから年末にかけて、「NEXT YOUコンサート」「NEXT YOU握手会」なるものが行われて撮影が入ったり、「こんばんは、NEXT YOUです!」と歌番組で名乗ったりして、その様子がドラマに取り入れられるということですね。
こういった現実とドラマが同時進行する試みは古くから沢山ありました。武田鉄矢が金八先生の格好で歌番組に出たり、『ママはアイドル!』の中山美穂が本人役で出演してパラレルワールド的にドラマが繰り広げられました。
近年では、柴咲コウが映画『黄泉がえり』のRUI役で楽曲をリリースしたり、香取慎吾が「慎吾ママ」「両さん」「ハットリくん」名義で番組出演・楽曲制作・映画化とドラマを越えて活躍したり *1 とコラボの幅は広がっています。直近だと『妖怪ウォッチ』『ラブライブ!』も、楽曲をはじめ他ジャンルへとコンテンツ展開された事例として有名ですね。
ハローで言えば、Gyao配信ドラマ『たからもの』に主演したなっちが、安倍なつみではなく主人公「千」名義で楽曲をリリースしました。『めちゃイケ』の「岡村女子高等学校」も、サンドーム福井のコンサートが番組と連動したある意味メディアミックス企画ですね。
いずれもエンタメの面白味が増幅される試みです。
何より今はネット連携が主流ですので、近いうちYouTube上に「Juice=Juice公式チャンネル」とそっくりの「NEXT YOU公式チャンネル」がお目見えして、プロジェクトが走り出していくことが予想されます。
BSスカパー!展開
以前からある「メディアミックス」ではありますが、今回は体制的にちょっと新しいコンテンツ展開のプロジェクトでもあるようです。
ドラマは、フジテレビとスカパー!が初めて本格的にタッグを組んで制作する。2016年にフジテレビ系での土ドラ枠で放送し、その数日後にBSスカパー!にてスカパー!バージョンを放送。NEXT YOUの関連オリジナル番組制作や、リアル歌番組への出演も予定しており、NEXT YOU旋風を巻き起こしそうだ。
|
地上波放送局とBS放送局とのコラボ企画になります。まだあまり例を見ない企画ですので、ある意味ここが一番の見どころと言えそうです。
既存の事例として、TBSとWOWOWで共同制作した、西島秀俊主演のドラマ『MOZU』がヒットしています。TBSドラマの視聴率的に平凡などと揶揄されましたが、それはあくまでスポンサー評価の指標に過ぎず、WOWOW契約の伸びや作品自体の満足度は非常に高く、ネットでのクチコミも良好、つい先日も国際エミー賞候補に選出されています。
- 新規加入3万世帯、視聴率2倍!TBSでは期待外れの『MOZU Season2』がWOWOWにもたらした恩恵 | ガールズちゃんねる - Girls Channel -
- 『MOZU』国際エミー賞にノミネート 受賞なら連続ドラマ部門で日本初快挙 | ORICON STYLE
いたずらにクレームを仕掛ける視聴者とスポンサーのしばりとでがんじがらめの民放地上波に比べ、BS専門チャンネルとの協業は、自由度が高くなったり、局によっては予算や撮影スケジュールに余裕を持って取り組んでいたり、様々な利点が注目されています。
そういった試金石として、メディア全体から注目されるんじゃないかと思います。
ともあれ、スカパー!でドラマのオリジナルバージョンや他の番組が用意されているという手厚い体制が組まれているというのは心強いですね。具体的に、今年のはじめにモーニング娘。'15が出演した『スカパー!音楽祭』は、おそらくドラマの放送と時期が重なることから出演は濃厚ですし、ライブ番組も数多くあります。スカパー!のチャンネルにアイドルの冠番組が増える昨今、様々な可能性が期待できます。
あと、ドラマの表現の自由度との兼ね合いもありそうですね。。
「武道館」ドラマ化は、内容が内容だけに、主演を務めてくださるJuice=Juiceのメンバーにいわれのない黒い感情が向かないかとその一点が心配です。ですがそれ以上に、実在のアイドルでこの小説をドラマにするという関係者様方の心意気が嬉しい!あらゆる価値観を問う作品になりますように。
— 朝井リョウ (@asai__ryo) 2015, 10月 8
メンバーにとってタフなシーンも考えられますが、そういった様々な状況を考えて、軸足をスカパー!側に置くことは十分考えられるところです。
ドラマ企画の仕掛け人
それから、この仕掛けを行った人についても気になりました。実は、この一報を聞いてピンと来たことがあったんです。
今どきの話題をサッと掬いあげて、つんく♂ちゃんと組んでみようだなんて、栗原美和子企画の鈴木おさむ脚本かしら、でも栗原Pはフジを離れてるけど……とかテレビオタク的なことぶつぶつと考えてる。
— もかまっちゃ (@_mochamacha_) 2015, 10月 8
このツイートに冴ゆるさん(@sayurumoon)からリプをもらってフジテレビ公式のページの存在を知ることになりました。
@_mochamacha_ 自分がさっきRTしたページのつんくさんのコメントにプロデューサーの栗原さんって名前が出てました(っ´ω`c) 有名な方なんですね。
— 冴ゆる (@sayurumoon) 2015, 10月 8
当たりだったようです。
フジテレビ公式の情報ページには、つんく♂Pがこんなコメントを寄せています。
「テレビドラマとのコラボレーションで音楽を作れること、とても楽しく思っています。この企画が持ち上がってすぐプロデューサーの栗原さんとたくさん打ち合わせをしました。
|
「栗原さん」という名前は、まだここでしか出ていないのですが、おそらく、以前つんく♂Pがフジテレビでドラマ出演した『ムコ殿』(2001年放送)や『恋愛偏差値』(2003年放送)のプロデューサーであった栗原美和子さんで間違いないと思います。
世の旬の話題を取り上げたドラマや衛星放送との連動企画は、この方の得意とするところ。最近では、J:COMのケーブルテレビやスカパー!で放送されているLaLaTVで、つんく♂さんが放送作家の鈴木おさむさんとドラマについて話す番組『THE ドラマカンファレンス』(2012~2013年放送)の企画も手がけていました。
いずれ鈴木おさむさんのTOKYO FM『よんぱち』でも紹介されそうですね。
ちなみに、この方、元々は『笑っていいとも!』のADだったため、それ以来さんまさんの盟友で、旦那さんと一緒に『さんまのまんま』に出演したこともあります。盟友というか、バラエティ番組のADなのにボディコンスーツで仕事したり、ドラマ班移動後は月9『東京湾景』で仲間由紀恵を韓国人のヒロインに据えたり、良くも悪くも往年のフジテレビのアクの強いスタッフの一人としてネタもなる人でした *2 。
次回Juice=Juiceメンバーが『ヤングタウン土曜日』にゲスト出演する時に、ドラマの話題でお便りするなら、以前から番組で話題にあがっている「朝井リョウ」とともに、「フジテレビ」「栗原美和子」をキーワードに入れたら盛り上がりそうです。
Juice=Juiceの勝負どころ
さて、話をJuice=Juiceに戻します。
想定されるメディアミックス
先日のNHK『SONGS』(2015.10.03放送)でつんく♂さんがTOKIO長瀬智也さんとセッションした『ひとりぼっちのハブラシ』は、『ムコ殿』の中で主人公・桜庭裕一郎が歌った曲であり、共演したつんく♂さんが作詞・作曲した作品です。上述の「メディアミックス」事例ですね。
続いては長瀬くんとの共演「ひとりぼっちのハブラシ」。 これが挿入歌だった某局のドラマ、懐かしいね。タイアップもあって、つんく♂さんが男性歌手に提供した曲の中では一番売れたんじゃない? #nhk #nhkgtv #SONGS pic.twitter.com/Yvm084CKl5
— 水踊or新川武彦 @B!IAR (@mizuodori) 2015, 10月 3
そう考えると、具体的なイメージとして、同様の演出が最も期待されるところですよね。
先日のこぶしファクトリー『ラーメン大好き小泉さん』のドラマ主題歌でもファンの間では大きなニュースだったのに、今回の場合は、ドラマに主演するだけでなく主題歌を番組内で歌うことが予想されます。Juice=Juiceの歌を幅広く聴いてもらえる絶好の機会だなあと、実に楽しみです。
今のJuice=Juiceの注目度
今日の昼休みの時間帯、わたしのTwitterの別アカのTLを眺めていたら、主な話題は山本昌の引退登板であったり相次ぐ結婚報道であったり、週末に控えた『キングオブコント』の予想であったりといったところで、最初に今回の話題に触れていたのは犬山紙子さんのリツイートでした。
多くのテレビ視聴者にとって、ハロプロの5人組と言われたら「ゴッドタンとか岡井ちゃん経由で℃-uteは知ってるけどJuice=Juiceって……?」という感じだと思います。
モーニング娘。(メンバーの名前は分からないけど存在はもちろん知ってる)、℃-ute(最近よく名前を聞く)、アンジュルム(元スマイレージだったんだ)に続く、ハロプロ4番手グループの名前を聞いた時、上でカッコで囲ったような一般的なイメージって何だろうと考えると、どう考えてもまっさらだと思うんですよね。
良くも悪くも、まだ世間で味付けされていない。ここが鍵だと思います。
メディアミックス、スカパー!連動の旨味
まっさらで空っぽなJuice=Juiceの印象。ドラマ主演によって注目されるとしたら、鍵はここにあるような気がします。
Juice=Juiceを知らない一般視聴者が、ドラマのキャラクターに思い入れを持ったら、おそらく「Juice=Juiceの佳林ちゃん」という覚え方をする前に「NEXT YOUの○○ちゃん」という覚え方をします。だとすれば、「Juice=Juiceは分からないけどNEXT YOUは知ってる」という逆転現象(本名は知らないけど役名は知ってる)が生まれることが十分考えられます。
そんな彼女たちが更にスカパー!で連動されます。フジテレビNEXT(CS)の『あたしの音楽』や地上波フジテレビ歌番組で歌う機会もあるかもしれません。ここでも彼女たちはNEXT YOU名義で歌います。そして、「NEXT YOUの○○ちゃんは歌が上手いなあ」という感触を得たり、オリジナル番組でもファンを獲得していったら、どんどんNEXT YOUがひとり歩きしていき、やがて「Juice=Juiceは分からないけどNEXT YOUは(テレビで)応援してる」という架空に対する推しも見られるかもしれません *3 。
ここがメディアミックスの面白いところです。それを経て「NEXT YOUの○○ちゃんを見るためにJuice=Juiceのライブに行ってみようかな」という、全くの新規ファンが生まれる可能性がありえるわけです。
モーニング娘。の久住小春が、アニメの中で月島きらりとして同時進行で異なるタイプのファン層を得たことに似ているかもしれません。
そういった形でJuice=JuiceとNEXT YOUが同時進行するプロジェクトが、どのように展開する可能性を秘めているか。ちょっと希望的観測を拡げてみたいと思います。
プロジェクトを妄想してみる
Juice=JuiceとNEXT YOUに共通するキーワードは「武道館」です。
この「武道館」にからめて、もしもパラレルワールドなのにゴールが一緒だったら、プロジェクトとしてとても面白いと思うんですよね。
ここからは、実はわたしは肝心の原作『武道館』を読んでいないので何とも言えないんですが、仮に両グループの目標が「武道館」だったとして、フジテレビの全8話のドラマ放送だけでは目的達成せず、その後(スカパー!版の後編、または地上波のシーズン2)へつながるよう何らか台本上のギミックがかませてあったとしたら、ドラマと現実の相乗効果が望めると思うんですよね。
つまり、Juice=JuiceとNEXT YOUとが「武道館」という同じ目的に向かって同時進行していき、同じゴール地点としてスカパー!の強みを活かし『Juice=Juice武道館公演生放送』という形をとることで、現実とドラマが同時にピークを迎えられる……そんな期待を抱いてしまいました。
例えばざっくり、こんな感じ?
【Juice=Juiceのロードマップ】
2015年4Q MISSION code2
2016年1Q MISSION code3(仮)
2016年2Q MISSION code4(仮)で220公演達成
2016年3Q 念願の武道館公演スカパー!生放送
【NEXT YOUのロードマップ】
2015年4Q ドラマ撮影
2016年1Q 地上波ドラマ放送(+スカパー!オリジナルバージョン放送)
2016年2Q シーズン2またはスカパー!オリジナルドラマの継続放送
2016年3Q 念願の武道館公演スカパー!生放送
※ツアー予定やスカパー!連携等、諸々想定です。
かたや220公演を支えるJuice=Juiceファンが武道館で「その時」を迎え、こなたドラマの登場人物として応援するNEXT YOUファンがテレビの前でやはり「その時」を迎える。幅広いファンの沸点を同じポイントに集めることが出来たら、非常に面白い試みだと思うんですよね。
そもそもどれだけのプロジェクト規模か分からないですし、また、計画があったとしても不人気であれば頓挫することもあります。
しかし、ちょっと前を振り返ると、モーニング娘。と同時進行で活動したドリームモーニング娘。が武道館までたどり着いたのは大きな成功事例だったと思うんですよね。
当時の「もう一度甲子園を目指すかつての高校球児」感はファンの域を超えて少なからず影響を与えました。
来たるべき時を楽しみにしたいと思います。
■
ここまで書いてきて、かつて『Angel Hearts』というバラエティ内ドラマがあったのを思い出しました。辻加護+5期がチアリーディング部の生徒に扮して演技をしながら、レッスンも積んで実際の大会に出場するという企画モノです。
企画として凝った仕掛けではありましたが、既存のオーディション企画等に比べると盛り上がりは遠く及ばないものでした。
今どきのドラマも同様です。
大勢が視聴する地上波の連続ドラマとはいえ、企画が凝っていても台本が面白くても、今どき広く話題となるいわゆる「刺さる」ドラマは年に数えるほどになりました。
『テラスハウス』のように色んな分野の人たちを巻き込んでの同時多発的な爆発が無い限り、上で妄想したような盛り上がりはちょっと難しいかなあとは思います。
手品を見る時、タネを探らずありのまま目の前のものを受け取ったほうが驚きが大きいのと同様、エンタメの企画もニュートラルに構えたほうが感動が大きくなります。
今の時点で確実なのは、武道館公演を目標としていることとそれに向けた220公演の着々と経験値を積んでいること。それだけを踏まえ、その途中、彼女たちを取り巻く出来事に一喜一憂する。身構えずに受け止めることがドラマを面白くする一番のエッセンスかもしれません。
続いていくSTORYをありのまま待つのみです。
◆ ◆ ◆
「宮崎由加ですヾ(*´•o•`*)ノ フジテレビ系の連続ドラマ初主演決定が今朝発表されました 原作は朝井リョウさんの「武道館」! みなさんに嬉しいお知らせができることが本当に幸せです Juice=Juiceの今後をお楽しみにっ」
Juice=Juice ファーストライブツアー2015?Special Juice? [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: UP-FRONT WORKS(Hachama)(PC)(D)
- 発売日: 2015/08/19
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (8件) を見る