テレ娘。

「テレビで見かけた娘。さんたち」 略して、テレ娘。 テレビ好きの目線から、画面に映った娘。さんたちについて触れます。

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あれから13年、モーニング娘。は今も夢の途中

あれから13年、モーニング娘。は今も夢の途中 - テレ娘。
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9月19日、モーニング娘。コンサートツアー秋「PRISM」の初日、座間会場の昼公演を観に行きました。

レポと言えるようなものを書けるほど生のコンサートを観察する目は肥えていませんので、コンサートを観て思ったこと・考えたことを少し書いてみます。

 

※途中までは、鞘師里保の卒業発表前に書いていた文章になります。一旦、つんく♂ロスだった1ヶ月前に時計の針を戻して読んでもらえれば幸いです。

※とはいえ長いので、鞘師の発表を聞いてから書き足したあたりにアンカーを置いときます。【ここ

 

まだツアー途中ですので、少し行を空けますね。

 

 

 

 

まず印象的だったのは、一にもニにもメンバーが一様に楽しそうだったこと。初日を待ちかねたとばかりに元気がみなぎっていました。

また、今回のツアーの新しい試みである、モニターの演出やアクロバットも、自分たち独自のものを新たに作る意欲が出ていて、武道館でどれほどの仕上がりになっているか楽しみです。

 

しかしながら、わたしの中での何より印象的だったのは、オーラス曲でした。

 

オーラスで思い出したこと 

実は、誘っていただいたでゅえろうさん(@dhuerou)と会場に向かう道すがらセットリストの予想をしていたんです。そこで「これは聴きたい!」と意見が一致したのがここにいるぜぇ!だったんですよね。

だもんで、アンコールMCで譜久村リーダーの口から「ここにいるぜぇーーー!!」と聞いた瞬間、隣の席のでゅえろうさんと絶叫しながらガッチリ握手して喜びました。

 

前奏で全員が大きく飛び上がって、小田が歌い出し、鞘師が続き、一人ひとりが歌パートをつないでいきます。

一番の歌詞の最後はこうでした。

鈴木「お~腹いっぱい学ぼう♪」(生田に寄りかかりながら)

全員「YES WONDERLAND 夢の翼ひろげ」

工藤「BREAKTHROUGH 自分をぶち破れぇ!」

ビックリしました。この瞬間、頭に電気が流れたようにハッとしました。麻琴っちゃんと辻ちゃんが強烈にフラッシュバックしてきたんです。

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そこからはもう頭の中が娘。の歴史の走馬灯状態なんですよね。

物凄く眩しい物を見てる気分で、無心で見つめ、無心で「WOW WOW WOW みんなロンリーBOYS&GIRLS」に合わせて手を振っていました。泣きそうでした。でゅえろうさんは泣いていました。

ホールから出ると、2013年からのファンのハコオシさんは「楽しさしか無い」と言い、古参の方々は「『ここいる』の振りが入ってないなあ」と言いながらその顔はニヤニヤが止まらないようでした。

 

昔を知ってるか否かに関わらず楽しさが伝わる曲です。でも、この曲が聴きたいってでゅえろうさんと話してたのは、楽曲発表当時の経緯を考えると今のモーニング娘。にピッタリだと思ったからなんですよね。 

 

『ここにいるぜえ!』というアンセム

13年前の今日、2002年10月30日にリリースされたこの曲は、後藤真希卒業後の1曲目にあたります。新体制で臨む上での強い意志を全面にアピールするために用意されたつんく♂Pの切り札でした。*1

歌詞を見ても分かる通り、やりたいことがあるから出会って唄って次のことに進んでいくといった趣旨の単純明快なこの歌は、『LOVEマシーン』『恋愛レボリューション21』といったヒット曲とは異質の、グループ自体をあらわすテーマソングのような存在であり、今で言えば『One・Two・Three』『Help me!!』と異なる『Be Alive』のように、モーニング娘。というグループがなぜ存在し続けるかを明確にする特別な歌です。

 

そして同時に、つんく♂本人が大切にしてきた曲でもあります。

つんく♂Pは「alive」や「be(be動詞)」が入った名曲を作っています。それらは始め常々生きていることや人間の存在意義を哲学的に語る彼は、存在していることを強くアピールするこの曲を自身のアルバム『TAKE1』に収録し、ライブでも繰り返し歌いました。

それは彼にとっても、シャ乱Qは活動休止しているけれど、俺達は「ここにいるぜぇ!」と訴える意思がこめられていました。

その気持ちは今でも続いていて、先日の近畿大学入学式で1年ぶりに世間に姿を現した、スポットを浴びた登場のBGMにも採用しています。半年ぶりに世間に顔を見せて「ここにいるぜぇ!」と心で強く叫んでいたのです。

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ハロコンでも歌われ、エッグも歌い、リリース以来大切に歌い継がれた『ここにいるぜぇ!』は、一人称の「僕」がどこまでも夢を追い続け、生きる、歌うといった、つんく♂モーニング娘。に普遍の存在意義がこめられた、いわばモーニング娘。の「アンセム」ともいうべき楽曲なのですよね。

 

意志を預かったモーニング娘。'15

思えば去年の春、『時空を超え 宇宙を超え』を聴いてハッと思って「つんく♂Pとの決別」と「道重リーダーとの決別」という2つの可能性を妄想しました。

けれど、まさかたった1年後にその両方が現実となるとは、全く思いもよらないことでした。 

ただ、この時は決別のイメージでしたけど、彼女たちは「決別」したのではなく「預かった」のだと思うようになりました。

 

先輩から預かった歴史

ちゃんと記憶は受け継がれています。飯田さんはこう言っていました。

飯田道重さゆみちゃんが後輩たちに喋ってるのを、教えてあげているのを見て、ちゃんと私たちが教えたことを後輩に教えているんですよ。同じ気持ちを持ってステージに立ってくれてるんですね。」

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NHKモーニング娘。55スペシャル』(2014.03.30)

※参考:道重さゆみへの大恩 - えだは

受け継いだリーダーからの引き継ぎも完了しています。道重さんはこう言っていました。

道重「みんな モーニング娘。のことがすごく好きで、向かっている先が今すごく一緒な気がして、みんながそう考えてくれてることが最近はよく見えるので、すごい嬉しいなって思います。」

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NHKMUSIC JAPAN』(2014.10.12放送)

 

つんく♂との約束

また、かねがね つんく♂Pはモーニング娘。を自分の「分身」と説明しています。

 

やっぱり僕の分身ですよ
あの子たちが違うツアーをしているという
僕の作品が同時進行で違う動きをみせてくれるというのが
なんかすごく快感になってきて
だからグループが増えて寝る時間が減っていっても
また違うチームがツアーやってるでって思うと
なんかすごく非常にうれしいというか
俺一人じゃ歩いていけない人生を歩いてくれてるなあなんて思うんですよ

 

NHK『SONGS』(2012.03.07放送)

 

もう一人の僕ですよ

僕が出来なかったことを、やってくれてるんですよね

もしくは、僕がやっぱり出来ない、仕事で出来ないこととかもあって、やってるんですよね

僕が僕で居られなくなるんだったら、(モーニング娘。が)無くなる時も来るのかもしれないですけど

もしくは、僕じゃない僕がモーニング娘。をやる時が来るのかもしれないですけれども、もしかしたらですよ。それは、情勢が変わっていけば、そういうこともあるのかもしれないけど

まあ「最後の砦」じゃないけど、僕じゃなくなったら、たぶん、みんな糸の切れた凧状態でひゅ~ひゅ~ひゅ~っとなって(四方八方に散らばって)行くかもしれないんで、いいか悪いか別ですよ

どうなんだろうなあ

 

スペースシャワーTV Plus『モーニング娘。3時間特番 あなたは、本当のモーニング娘。を知っていますか?~15年間の過去!現在!!未来!!!~』(2012.09.15放送)

 

これまでの娘。を受け継ぎ、つんく♂Pの「分身」である彼女たちは、総合プロデューサーの立場から離れることになったつんく♂と、ある約束をしました。

工藤『俺の分までしっかり歌うんやで、俺もいい曲つくるから』と連絡をいただいて、すごく励みになったというか、私たちももっと頑張らないとという気持ちになりました。」

譜久村「今日のイベントをやるにあたって、『しっかり頼んだで』って言ってくださって、『心を込めて歌ってきてね』って、『愛をこめて歌ってきてください』という言葉をいただいたので、本番前にみんなでがんばっていきまっしょいをする時に、それをみんなに伝えて頑張りました。」

 

/新曲リリースイベント@池袋サンシャインシティ噴水広場(2015.04.15)

 

つんく♂の分まで歌うということ。

この時、プロデューサーの去就について明らかになっていなかったので「歌手・つんく♂」の後押しとして聞いていましたが、彼女たちはこの時、道重さゆみの「卒業」つんく♂Pの「卒業」2つの喪失感と向き合っていたのですよね。過去を振り返らずに旅立とうと決意する新曲『夕暮れは雨上がり』という楽曲に強く後押しされ、勇気を振り絞っていたんです。

 

だから、歌う

「シーザーを理解するためにシーザーである必要はない」という言葉があります。つまり、モーニング娘。を理解するためにモーニング娘。のメンバーである必要はありません。それは確かにそうでしょう。

しかし、モーニング娘。次にどんなことをやりたいのかという「意志」は、つんく♂Pとモーニング娘。にしか分からない。

つんく♂Pが直接触れる立場でなくなった今、モーニング娘。はそれ自体が意思を持つ一つの集合体になりました。つんく♂がこれまで形作ってきたモーニング娘。がこんなことをやりたいという「意志」を持ち続け実行できる者はメンバーたち本人しか居ません。

だから、そんな彼女たちに対してつんく♂Pは『Oh my wish!』で、立場的に離れたところから、こんな風にハッパをかけていたのです。

ほんとにみんな それがしたかったの?

素直な気持ち 清い心

今も持ってる 心の中に持ってるけど

何も変わらない

口先だけじゃ 何も変わらない

春にリリースした3曲『青春小僧が泣いている/夕暮れは雨上がり/イマココカラ』はいずれも旅立つ意思表示をハッキリ示しています。

秋にリリースした3曲『Oh my wish!/スカッとMy Heart/今すぐ飛び込む勇気』はいずれもやりたいことを見据えて次に進むことを強く宣言しています。

いわば「OB」の立場となったつんく♂Pは、楽曲プロデューサーとしての出来る限りの後押しを曲にあらわし、それを受けて娘。メンバーは気の引き締まる思いで今年を過ごしてきたと思うんです。

思えば春のツアーは、とても全力で臨む様子が見られて素晴らしかったのだけど、 どこか何かに追われているような必死さが良くも悪くも印象的でした。

あれから、いつも通りにお芝居があって、いつも通りに夏のハロコンがあって、いつも通りに新曲がリリースされて……。ある意味順調だったけど、その間にハロプロ内では若いグループがどんどん出てきて、アンジュルムもJuice=Juiceもグイグイ追い上げて、℃-uteは独自に世界をキープしていて、娘。はちょっと押され気味かも。。本人たちがそんな心配をしてるのではないかと、ちょっと勘繰ったりしました。

 

9月。つんく♂Pの自著が出版され、総合プロデュースから離れる事実が明らかになりました。それと同時に世間にも顔を出すようになったつんく♂Pは新しい活動を始めています。

座間の初日はつんく♂Pのドキュメンタリーの一週間後でした。

ちょっと感傷を引きずる部分もあったんですが、フタを開けてみたら満面の笑みと余裕の表情のメンバーたち。春とは全く違う、自信を持って次に進もうという意識が全面に感じられました。

つんく♂Pの再出発とモーニング娘。の再出発を同時に迎えたこのタイミングで、オーラスにつんく♂が大切にする『ここにいるぜぇ!』を選んだことで、それぞれが次に向かって進むことを強くアピールしているように見えて、とても神々しく感じたんですよね。

つんく♂は「だから、生きる。」で、娘。は「だから、歌う。」のだと。

 

つんく♂Pが心配する「糸の切れた凧」にならず、モーニング娘。がこれからも意志を持った集団でいられるかどうか、鍵を握っているのは紛れも無く今バトンを預かっているメンバーなのです。

 

今のモーニング娘。がつける足あと

バトンを受け取った彼女たちが本当にやりたいのは、やっぱり引き継いだものを続けるのではなく、自分たちの足あとをつけることだと思うんです。

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鞘師「嬉しいんですよ、大分に来れて。なんか、すごくないですか? だって、新しいモーニング娘。ですよ。なのに、今まであんまり行けてなかった大分に来れるんですよ。嬉しいですよね。」

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生田「大分のみなさんに好きになってもらおう♪」

 

/Morning Musume DVD MAGAZINE Vol.75 ※該当部分は2015春ツアー大分公演の舞台裏。

 

彼女たちの先輩がつけた足あと。モーニング娘。の海外公演は大変な歓びをもって迎えられましたが、その時、ファンの多くが『ここにいるぜぇ!』を思い出しました。

 

歌は国境越えて どこまでも進むよ

 

つんく♂Pの意志が込められた歌詞の通り、「歌は国境を越えて」世界中のファンに愛されるようになりました。やがてつんく♂自身の憧れの地であったニューヨークにまで到達します。

これまでの足あとは様々な国への架け橋を作る活動だったのではないかなあと思っています。

だから、新生モーニング娘。がこれからつける足あとは、その橋を渡って「どこまでも進むよ」のフェーズに入るのかなあと、考えたりしました。 

 

「何がしたい?」とか聞くけれど 話せばビックリするじゃん

知らないこととか始めると 超不安な顔するじゃん

 

思えば、次にやりたいことを聞いてビックリした全編英語の歌。

歌えるの?って、ちょっと不安だったりもしましたが、お披露目は無事に成功。

※『One and Only』は7分33秒頃から

初めて聴いた時点では、まだあまり刺さってないという人も見受けられましたが、この曲がいずれ大きな転機のきっかけになるような気がしています。

 

初めて2006年の春ツアーの『How do you like Japan?』の映像を見た時、わたしの率直な感想は「ガキさん、そんなハシタナイことしちゃダメでしょ!」だったりします(笑)。でも、今では娘。指折りの異色ロックナンバーとなりました。

『THE マンパワー!!!』は個人的にはアリだったんですが、8年ぐらい経ってから「再評価」の声を聞くに至って、今さらかと苦笑しました。

『SEXY BOY ~そよ風に寄り添って~』も最初は「パラパラかよ…」でした。中国人留学生が入るって知らせの時もどひゃーでした。いつだってそう。話せばビックリするようなことを始めるんだけど、いつの間にか「こっちのペースに巻き込む」のが彼女たちのやり方です。

 

エルダー組への送辞での「後輩たちの目標になる」「後輩たちも意外とやるねというところをお見せする」という高橋愛の宣言が、すべて実現している今の様子を当時は知る由もありません。

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「6期最強」とうそぶく勝ち気な道重・田中が、ハロコン『私の時代!』で舞台の上段から降りてくるのを観た時は、「こんな時代が本当に来るんだ…」と感慨のため息が漏れました。

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田中卒業直後のツアーで『I WISH (Updated)』を観た時、「いつかこの9人がモーニング娘。を引っ張る姿が見られたらいいな」という希望、、

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それが今、現実のものとなっています。

 

未来にくさびを打って、自らそれをたぐり寄せる

 

それがモーニング娘。の歴史です。

やりたいことはやってみる。やりたいことは信念を持って取り組む。やがて認められる日が来る。そうやって未来に進むから、今も存在しています。

そんな歴史があるからこそ、再び『ここにいるぜぇ!』をモーニング娘。が歌っているのを聴くと、すごく勇気をもらうのです。

 

 

  * * *  * * *

 

 

……と、ここまで書きかけていて、時間を見つけて手直しをと思っていた矢先、鞘師里保が年内で卒業することを発表しました。

 

モーニング娘。の次の「意志」はモーニング娘。にしか分からない。

鞘師がしたい事、それはやっぱり「話せばビックリする」ことでした。でも、やりたいことをやるからこそのモーニング娘。です。誰にも止められません。すでに仲間たちが次々に彼女を支持するとブログで表明しています。待ったなしです。

鞘師の卒業表明によって、上に書いたことがどう変わるということも無いんですが、今一度、モーニング娘。'15が『ここにいるぜぇ!』を歌う意味を考えてみたいです。

もう一度、上述のリリース当時の話に戻りますね。(一部重複)

 

エースの卒業

13年前の今日、2002年10月30日にリリースされた『ここにいるぜぇ!』は、後藤真希卒業後の1曲目にあたります。新体制で臨む上での強い意志を全面にアピールするために用意されたつんく♂Pの切り札でした。

歌詞を見ても分かる通り、やりたいことがあるから出会って唄って次のことに進んでいくといった趣旨の単純明快なこの歌は、『LOVEマシーン』『恋愛レボリューション21』といったヒット曲とは異質の、グループ自体をあらわすテーマソングのような存在であり、今で言えば『One・Two・Three』『Help me!!』と異なる『Be Alive』のように、モーニング娘。というグループがなぜ存在し続けるかを明確にする特別な歌です。

リリースから1ヶ月と少し前の9月23日、後藤真希は自身の17歳の誕生日に卒業コンサートを行い、颯爽と次の道に進むこととなりました。当時、13人の娘。が12人になった意味は非常に大きく、日本中がモーニング娘。の潮目を感じ、多くのファンが燃え尽きました。

でも、残されたメンバーは、歌詞にも曲調にも振り付けにも大エース・後藤真希が抜けてもモーニング娘。はこれだけ活き活きとしているのだと説得力にあふれたこの楽曲を、どんなに体力が消耗しても歌い続けたのです。

若いメンバーがそれぞれに自覚を持つことで、一丸となっていきました。

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※当時のパソコンでいつでも開けるようにしていた『ここにいるぜぇ!』の画像。4期は在籍2年半、5期は在籍1年ちょっと。4期5期の8人とも17歳以下。

加入して1年経ったけれど世間から「新人」と呼ばれ続ける5期も、5期が入ったことで天真爛漫な最年少では居られなくなった辻加護も、それぞれ後藤の歌割りをたっぷりと受け継ぎました。

この年まで春・夏・秋の単独公演だったんですが、9月23日の卒コンまでが夏公演で、10月26日から秋公演。わずか1ヶ月間の待ったなしの状況で、毎日のようにメディアにも露出がある中、いよいよ自覚を持ってステージに臨むべく準備し、秋公演のオープニングで『ここにいるぜぇ!』を披露するのでした。

 

今回と似ている点が非常に多い気がしています。13人のモーニング娘。が12人になる。発表から2ヶ月で卒業してしまうエース。加入直後から凄まじい活躍をして、驚きのタイミングでわずか17歳で次へと向かって颯爽と駆け抜けていきます。そんな彼女を加入後1年ちょっとのメンバーは誰もが憧れていました。

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※後藤卒コン終演後、メンバーが一人ひとり涙ながらにコメントする。泣いてばかりで一言も発することが出来なかった高橋愛に対し、ポロポロ涙を流しながらもソロの後藤も大好きなので応援したいときちんと答えていたのは最年少・新垣里沙であった。

あれから13年、あの日ポロポロと涙してたメンバーが育てた子たちがモーニング娘。を背負うようになり、再び同じようなことが起きているんですよね。12期はどんなことを伝えるんですかね。。何か必然的なつながりを感じます。

あの時と同じであれば必ず乗り越えなきゃいけないし、乗り越えた先で新しいことをやってやろう!と意気込んでこそモーニング娘。であろうと思います。

 

未来にくさびを打って、自らそれをたぐり寄せる

 

それがモーニング娘。の歴史です。

一足先に、鞘師は自分の未来にくさびを打った。すでに渡航に前向きのようです。今後も娘。を預かる12人も、60枚目のシングルで何かきっと未来にくさびを打つに違いない。それは英語の歌かもしれないし、50枚目の『One・Two・Three』のような新境地かもしれない。

そして、1人と12人はそれぞれの道で、自ら未来を現実へとたぐり寄せるのです。

 

思えば、'14は全力で駆け抜けました。駆け抜けた日々を知っているからこそ、ファンは'15を信頼しました。同様に、'15が残り2ヶ月を駆け抜けることは、きっとその先につながります。

つまり、モーニング娘。'15が今まさに「ここにいる」のだという足あと・爪あとを残さなければいけない。彼女たちがそんな思いで残りのツアーも『ここにいるぜぇ!』を弾けるように唄い続けてくれるに違いありません。

なにより、それがつんく♂Pからモーニング娘。を預かった'15メンバーの果たすべき役割なのではないでしょうか。

 

 

先日、BSスカパーで放送された『FULL CHORUS ~音楽は、フルコーラス~』にハロプロが総出演していました(2015.10.27放送)。

その中で、モーニング娘。のブロックでは、デビューから今までの18年を映像で振り返っていました。デビューからの出来事を細かく説明し、ハピサマ、恋レボ、ピ~スのヒットを取り上げると、次は『ここにいるぜぇ!』の映像をバックにこのように説明していました。

ナレーション「その後メンバーの加入・卒業を行いながら 常に新しいモーニング娘。像を提示し続けた」

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世間に訴求するほどのトピックはここでおしまい。曲調の変化やメンバーの加入といった内寄りの話題になっていきます。もちろん音楽番組として、新しいものを出し続けていることへのリスペクトが込められてはいるんですけれども(あ、いえ、誤解無きよう言っておくと、物凄く好意的にハロプロを取り上げてくださって、ハマさんもベッキーも親切で、番組はホント申し分無かったです、ハイ)

いい表現じゃないけど、『ここにいるぜぇ!』から現在まではモーニング娘。の「バブル」が終わってからの13年であったと言えると思うんですよね。つまり、興味本位で集まった人たちが、三々五々、潮が引くように居なくなるその潮目の時期にこの曲はリリースされたんです。それ以降は、モーニング娘。のことを好きな人たちが支持を続けてきました。

 

とはいえ、常に変化が求められる中で13年も定番で居続けるって凄いことだと思うんですよ。「たぐり寄せる」って言ってもくさびが外れたりピッケルも刺さらなかったり、もっと言えば、天候不良やガケ崩れもあって、順調な時のほうが少なかったと思うんです。

だけど「それでも13年人気が続いているのはどうしてか?」って考えたんですけど、それは、モーニング娘。はそれでも山に登ろうとし続けたからではないか。そんな答えに辿り着きました。不器用でもそれがカッコイイんですよ。

そう考えると、彼女たちの新しい一歩は決して止めてはいけないのですよね。それはすなわちモーニング娘。が止まってしまうことに等しいのだから。

 

常に挑戦し続けるグループの美学、それが『ここにいるぜぇ!』の魅力であり、モーニング娘。の魅力なのだと再確認しました。

 

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あの日と同じチェックをあしらった衣装

あの日のように「僕ら」はまだ夢の途中

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*1:そういった意味で、後の『リゾナントブルー』『まじですかスカ!』『One・Two・Three』『The 摩天楼ショー』のように、時代の変わり目に強力な作品を繰り出すつんく♂Pの常套手段の先駆けとなる曲と言えると思います。