テレ娘。

「テレビで見かけた娘。さんたち」 略して、テレ娘。 テレビ好きの目線から、画面に映った娘。さんたちについて触れます。

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ラジオで語られた『泡沫サタデーナイト!』にまつわる話

ラジオで語られた『泡沫サタデーナイト!』にまつわる話 - テレ娘。
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※当記事は、以下の記事のサブエントリーになります。

telemusume.hatenablog.com

 

 

5月11日リリースのモーニング娘。'16『泡沫サタデーナイト!』が、発売前から話題となり、公式MVの再生回数も勢いが止まらないまま、公開11日で100万回に到達しました。

www.youtube.com

 

4月の下旬からラジオでも流れ始めていますが、その際、印象に残ったコメントをいくつかピックアップしてみます。

 

赤い公園・津野米咲「モーニング娘。'16を聴いたことがない人にとっての、一つの入口になれば」

『泡沫~』が初めてラジオでフルコーラス披露されたのは、作詞・作曲を務めた津野さんのラジオでのこと。その際に、制作の経緯について語っていました。

あらためて言いますけど、私 津野米咲は、ふだんハロプロとは全く関係ない所で、赤い公園というバンドをやっていて、歌も唄ってないですし、ただ、作詞作曲はしてるんですけれども。

なので、ハロープロジェクトに曲を募集するみたいな、個々のグループとかじゃなくて。そういうまあ曲のコンテストみたいなものがありまして。それに曲を書い…この曲を書いて出したところ、ふたを開けたら「モーニング娘。'16のシングルになったよ」ってことで。

おったまげましたよ、そりゃもう! どうしよう!って思ったし。

最初はこの曲、ファンクっぽかったりソウルっぽかったりしますけれども、最初のAメロのとことか、デモの段階ではスカだったんですね。ツッタツッタツッタツッタって。

でも、モーニング娘。さんが唄うっていうことになって、まあ、言わばよそ者ですけれどもね、私は。よそ者「らしい」ほうを、モノを、書きたいなとちょっと思ったんですね。

それでもやっぱり、ハロプロずっと好きですから、まあこういうちょっとブラックミュージックがルーツの曲にはしたかったんですけど、でも、最終的にどんどんシンプルになっていって、メロディも歌詞もとってもシンプルで、構成もシンプル

でまあ、ここ最近ずーっとモーニング娘。'16さん、私もすごい好きなところではありますけれども、やっぱスキルが高いんですよね。フォーメーションダンスだったり歌だったり、リズムが良くて。でも、まあそういうものを掘っていったらいくらでもつんく♂さんの名曲が沢山出てくるので、この曲は、モーニング娘。'16を聴いたことがない人にとっての、一つの入口になればいいなというような思いで書きました。

シンプルであればあるほど、今の12人がなんかこう、楽しく、団体として集まった時のかわいさだったり明るさだったりが出るといいなと思って書きました。

そして、この曲、このシングルをもって鈴木香音さんが卒業されるということで。彼女の笑顔には私も何度も救われていますし、もう「難しく考えてんじゃねーよ」って言われてるような気になるんですよね。

だからまあ、そういう思いも曲にしたためられたらいいなと思って作り上げた曲なので、みなさんもこうね、ライブなどで盛り上がってくれたらいいなと思います。

NHK-FM「ゆうがたパラダイス 赤い公園・津野米咲のKOIKIなpop rockパラダイス」(2016.04.20放送)

 

MV公開以前、多くのファンが絶賛する中、耳の肥えたファンからは「厚みが足りない」「音数が少ない」といった評価も聞かれましたが、それは実は正しくて、意図的に減らしていたということのようです。

津野さんも、いちファンとしては音の厚み的にリッチなものにしたい、楽曲制作オーディションにスカの仕上げで臨んだけれど、合格の通知とともに娘。の曲になると分かって驚き、そこからコンセプトをきちんと据えてアレンジしていった結果、モーニング娘。を知らない人が初めて聴いた時に取っ付きやすいものを作ろうとどんどんシンプルになって、そうすることで楽しさや明るさやかわいらしさを印象付けやすい作品になったということなのですね。

それって、たとえば、仏ブルゴーニュの由緒ある銘柄のワインを高級フレンチレストランでいただいたら、それは旨いでしょうけれども初心者には怖くて手が出ません。そうでなくて、手が出やすいチリワインを持ち寄ってホームパーティーとなれば、敷居が低くて入りやすい。そんな、間口を広くとったような印象。

わたしはお酒が好きですけど、それ以上にお酒を通じて楽しくお話するのが好きなタイプです。ワインの楽しみをより多くの人に気軽に知ってもらえるのは、後者であるように思います。

 

CBCアナウンサー・永岡歩「当時ファンだった世代がガンガンいい曲を作れるようになってきてる」

CBCの永岡アナ *1 が、自身のラジオの中で、ハロプロファンが楽曲制作し始めている現状について語っていました。

モーニング娘。って今までEDMの感じだったじゃない? '15ぐらいから。'14? '15ぐらいか…ぐらいからずっとやってきましたけど。*2

今回はつんく♂さんじゃなく、表題曲が、赤い公園の津野米咲ちゃん。なので、EDMじゃなく、往年のそのなんかモーニング娘。が、なんか最初に輝いてた時代の曲っていう。

これ、いいと思う。

モーニング娘。こっからものすごく強くなるんじゃないかなと思うのは、ねえ、要は、当時ファンだった世代がガンガンいい曲を作れるようになってきてるでしょ?

そうすると、一生いいのが出来ていかない? ずーっとファンがいるわけだから。で、書きたいって人たちが出てくるわけ。

これ、何かって言うと、ルパン三世現象ってぼく呼んでるんだけど、ルパン三世も結局ファンが大人になっていいのを作りたいっていうから、一生いい作品になって、急にルパンが緑ジャケットまた着る、みたいな。「やっぱ俺はルパンは緑だ」っていうようなさ。そういうような現象が起きてる。

これはモーニング娘。はちょっと、無限確変中なのかなっていうような感じですねえ。」

CBCラジオ「ナガオカ×スクランブル」(2016.04.29放送)

 

これ、初めて聴いた時に思いました。

ざっくり言うと、慶応のような、学生がやがて先生になって新たに入門した学生を指導するイメージ。さながら、つんく♂Pが福沢諭吉の立場で。

「天は人の上に人を造らず」と同様、「人間に動物 植物 鉱物すべてバランス 偉い奴なんていない それが愛だ だから愛だ」と、平等の精神を説いている点でも一致します(笑)。*3

あるいは、手塚治虫に師事するトキワ荘の若者が虫プロとコラボしている感じ。今年のリリースで非常に好評の、ヒャダイン作『猪突猛進』もこの『泡沫~』も、ハロプロファンの作品であるとともに、ハロプロおなじみのアレンジャーががっちり支えているという点でも一致します。トキワ荘の若き精鋭を虫プロの職人たちが全面バックアップの状況で出来上がったものなのですよね。

どのクラスタでも、とかく真似事をすると反感を買うことは多いですが、そこにリスペクトがあることで文化はつながっていく感じがします。

永岡アナはルパン三世にたとえていました。クリエーターの世界のことに詳しくなくても、山田康雄栗田貫一が声優として引き継いだ時には誰もが賞賛しましたよね。完コピの技術もさることながら、そこにリスペクトがあったからなんだと思います。

 

ダイノジ大谷ノブ彦「今のモー娘。って、なんかね、楽しそうなの!」

「ラジオスター」 とイジられて久しいダイノジ大谷氏が熱(#netsu)のこもった訴えを見せていました。お笑いの風向きの変化と絡めてお話をしていて興味深いです。

大谷「もうね、モー娘。の新曲ヤバイよ。」

大地「そうなの?聴いてないですよ」

大谷「ネットではもうとんでもない事になってますよ!」

大地「あ、そう!」

大谷「来てます。Buzzってます。大々名曲です!」

大地「へぇ~」

大谷「作ったのは津野米咲ちゃんって、赤い公園の方なんですけどね。」

大地「おーっ! あの子もだって、モーニング娘。さん大好きだもんね」

大谷「これはだからですねえ、世の中のこととかもね、『片手に持ったスマートな世界 読んだのにスルーは超ご法度』。今の時代のことですよ、スマートフォン持って、片手で。『読んだのにスルーはご法度』だから、既読無視とかご法度になってると。『血眼になってつなぎ留めても やっぱ薄くて軽い』と、その(SNS上の)関係は。そんなことより、出てきて、『サタデーナイト』出てきて、現場に出てきて踊ってくれと。『誰も彼もがニッポンの主役だ』って言ってるんですよ。これは、一億総活躍社会って言われると俺はわからなかったけど、要はこう解釈しろということなんです。」

大地「うん、うん」

大谷「さっきのユーチューバーじゃないけど、今は俺たちのDJとかも、なんでウケるかって客が踊ることが大事で、で、俺たち今漫才も、実は、わざとじゃないけど結果的に退化させようと今してるんですよ、どんどん。」

大地「うん」

大谷「それは、何か分からないけどこの二人楽しそうだから笑っちゃったっていうほうが、何か今俺は楽しい。楽しいってか、ウケるのね。ウケるってことが一番デカいか。ウケる。」

大地「うんうん、ウケるね。」

大谷「でも、そのウケてる時は【面白い/つまんない】の笑いをジャッジしてる感じじゃないのよ。何か分かる?言ってる意味。」

大地「うん、そうそうそう」

大谷「そういう感じでウケてるんじゃないのに。何となくみんなを共犯者にしたから勝ち得たウケ方っていうか。」

大地「何かあれだよね、こっちが見せてるんじゃなくて、円の中心でやってるみたいな。」

大谷「5年前とちょっと違うの。メンタリティがまるっきり違うようになってきてて、でもこれ、確実に快感になってきてるよね。だから俺らは終わった後、物販とかに並んで やって 喋ったりするんだけど、写真撮ったりする時に分かることがいっぱいあるの。その人の表情とかその人の人間性とか、こういう人が来てくれてるんだって知ることだけで全然違うの。」

大地「うん」

大谷「で、何かそっちのほうが今ねリアルなんですよ。すごく、これはもう全然違うんですよ、10年前とかと全然違うんですよ。昔はステージの上の人は特別だったのに。」

大地「うん」

大谷「で、モー娘。は、一時期やっぱり鞘師さんが居た頃って、技術が高いグループに一回なりかけたの。だけど、俺らの周りはどんどんモー娘。いいよねいいよねって言ってて、ホント一部では盛り上がってて、道重って素晴らしいリーダーが居て、この番組にも来てくれたけど、形が出来てたけど、なんか一般層にね、まだ行ってねえなってところがあったの。」

大地「そこは届いてない…うん」

大谷「90年代後半の、なんだろう、キャバクラ嬢みたいな人たちがほんとにキャバクラで唄ってそうな歌を唄うことで、あの世紀末の時代を一点突破したあの感じが、この曲でね、いやもう断言しますけど……奪還してますよ。」

大地「おーっ!」

大谷「と俺は思うぐらい、超絶名曲だと思います。こんなモー娘。を待ってた。ていうか、こんなアイドルを久々にやっぱ見たかったよねっていう。」

大地「なるほど、当時のあれね。」

大谷「でも、これは技術に行ったから、今これをやったことで説得力を増してるんですよ。」

大地「あーっ」

大谷今のモー娘。って、なんかね、楽しそうなの!今のモーニング娘。って技術の高さじゃなくて「楽しそう」。ある種のアマチュアイズムみたいなのがちょっと出てるんですよ。だから、倍!魅力的なんですよ。」

大地「ほぉ…」

大谷「これねえ、発売になったと同時にすっごい話題になるんで、絶っ対今のうちにチェックしておいて欲しいです。今ナンバーワンです、この曲が。」

 

※2016.05.18_18:30追記:この後、曲を聴き終えた後のやり取りにも興味深い話があったので、注釈欄に追記しました。 *4

 

JFN「SCHOOL NINE」(2016.05.10放送)

 

文字にすると掛け合いですけど、実際は大地さんのこと放ったらかしでした(笑)。ここでは、ダーッと2つのことをいっぺんに話しているのかなあと思います。

一つは、技術論の話。

M-1以降の長いお笑いブームの中で、芸人が目指したところは(ファンが注目したところも)、ネタの構成やツッコミの間(ま)など、もっぱら技術論・システム論だったところがあったと思うんですけれども、ここ最近、ハリウッドザコシショウのR-1制覇に象徴されるように、傾向が変わってきています。

あるいは、M-1で強烈なキャラの印象を残したメイプル超合金にも言えますが、「面白い」の対象が、ネタやモノマネの秀逸さよりも受け取った時のインパクトやキャラクターの魅力に変わってきているんですよね。受け取って、直感的に「いいね」とポチれるものがウケる時代になってる気がします。

同様に、ここ最近、フォーメーションダンスを核に技術重視のイメージを構築していたモーニング娘。でしたけれども、「クール」なグループから「楽しそう」なグループにグループ自体のキャライメージを一新することで、きっと一般層に刺さると確信した様子でした。

もう一つは、昨今の参加型の傾向。

昔は、一段高い舞台に立つ人を別世界のありがたいものとして観客が見上げるのが当たり前でしたが、誰でも自ら面白いものを発信できる時代、垣根を取っ払って、フラットなフロアで輪の中心に観客がいて、芸人のきっかけに呼応して一緒に楽しむ雰囲気づくりをしている自分たちの活動を振り返り、親しみのある存在であることを良しとしているのですよね。

お笑いの世界(よしもとの世界)では、若手芸人のための渋谷∞ホールがすり鉢型をしていることが象徴的かなあと思っています。半円すり鉢状のデザインの底の部分にステージが用意されていて、それを観客が見下ろす格好。

で、若手がネタ披露して、観客が面白かった芸人に投票してヒエラルキーを勝ち上がっていくシステムを採用しています。終演後は出待ちしているファンにも対応。出待ちに目もくれず無言で通り過ぎることをカッコイイとしていた、ダイノジが若手の頃の時代とは隔世の感です。楽しい舞台を作ります、応援してください、みたいなサブカルコミュニティの雰囲気を感じます。

 

昔の人気者は遠い存在で、今の人気者はより近い存在、という発想。

歌もダンスもレベルが高くて憧れの存在です……と他のアイドルに言われるハロプロの立場は、どこかくすぐったかったりします。今もステージでは、ダンスをがんがん踊るしアクロバットをするし、どんどん上を目指していってるけれど、世間に対する顔としては一旦封印して(バラエティに出る時の岡井ちゃんの歌みたいなものでしょうか)、同じ場所で「みんなで踊りましょう」と肩の力が抜けた彼女たちに、今どきにマッチした魅力を感じたわけですね。

 

 ◆ ◆ ◆

わたしたちと同じ場所に居るモーニング娘。'16。確かに飾らず楽しそうです。

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*1:個人の印象ですが、毒を表に出してアイドルに強めに当たる吉田尚記…みたいな印象があって、よっぴーと同じく夜の帯番組のパーソナリティを務めています。

*2:実際は2012年のピョコトラ、恋愛ハンターあたりをプロトタイプ的に用いて、One・Two・Threeで完全にスタートした感じですね。

*3:What's Up? 愛はどうなのよ〜 - モーニング娘。 - 歌詞 : 歌ネット 

*4:ダイノジのトーク続き。
大谷「どーーですか!『泡沫サタデーナイト!』」
大地「いいねえ」
大谷「リスナーのみんな、ヤバくない、これ?」
大地「スゴい、バブル感あるねえ。」
大谷「ドゥイドゥイ ドゥイドゥイ……」
大地「ドゥイドゥイ ドゥイドゥイ……」
大谷「ちょっと、そこだけ聴かせて、ドゥイドゥイの最後。」
大地「はっはっは。」
大谷「しつこいドゥイドゥイ!(笑)」
(最後の「Doit! Doit! …」の部分が再生される。)
二人「あぁ、いい~ねぇ~」
大谷「やり過ぎがバブルな感じしてねえ」
大地「しますよねえ。いい感じできらびやかなネオンのね、こってりした感じ。でもいいなあ。」
大谷「今のモー娘。楽しそうだよね~。」
大地「確かに!分かるこれは!」
大谷「やっぱり、マニアな人って大事だと思うし、マニアな人とかが批評したりすることも文化的には絶対大事なことなんだけど、でもそれが間口の狭さにつながる時ってあるじゃん。
大地「ある!」
大谷「やっぱ、プロレスなんか正にそうだし」
大地「そうそうそう、ヒップホップもそれに近いとこあったりするからね。」
大谷「そう。今だったら俺、『レッドブル』すっげえ楽しかったんだけど、何かちょっと声高に『みんな映画館行こうぜ』とか言うと、『お前、マーベルの何分かってるの?』とか言う人がいるんですよ。『アメコミ、お前どんだけ好きなの?』。いや知らねえし(笑)。はははは。」
大地「またあいつは、みたいなね。」
大谷「『はいはい、これから調べますからぁ』って言いたくなるんすよ。まあ、もうそういう人は相手にしてあげないようにしてるけど…昔はしてたけど…もうそういう人は別に、そういうの言うのがたぶん好きな人で、一生たぶんそれ言って、ストレス抱えて、ねえ、たぶん消えていくから(笑)。で、そいつは主役になんないっすよ。」
大地「そうそうそう。」
大谷そのことで主役にはなんないっすよ。主役はそんなことやんないんでしょ? やっぱ主役ですから、みんな。
大地みんなが主役だから。
大谷「楽しんだほうがいいよ。」