テレ娘。

「テレビで見かけた娘。さんたち」 略して、テレ娘。 テレビ好きの目線から、画面に映った娘。さんたちについて触れます。

※ことわりなくツイッターの発言をお借りする場合があります。不都合がありましたらコメント欄にてお知らせください。

15歳のモーニング娘。

15歳のモーニング娘。 - テレ娘。
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この一年、モーニング娘。の活躍の場が広がりました。
特に今の10人の体制になってからの半年は、「三作連続1位」「今のモーニング娘。プロモーション、そして「'14」と、がぜん過去の娘。への意識が高まり、「三作1位でも知名度はまだまだ……」と謙遜する現役メンバーの声が聞かれる一方、「史上最強」という煽り文句が当然のように聞かれるようになりました。
ネットの声や広告の謳い文句はとかく比較が大好きだけど、実際のところ、娘。の歴史や楽曲スタイル、世の流行やメディアの変化、音楽業界や聴く手段の変化……等など、様々な点で状況が異なるため単純比較は極めて難しいですよね。
ただ、最近 同じ年齢同士で比べてみたら面白いかも と思ったことはありました。


そのきっかけは、 Billboard JAPAN.comの平賀哲雄さん(@Tetsuo_Hiraga)による鞘師里保鈴木香音の両名へのインタビューです。

モーニング娘。 『The Best!〜Updated モーニング娘。〜』インタビュー│Special│Billboard JAPAN モーニング娘。 『The Best!〜Updated モーニング娘。〜』インタビュー│Special│Billboard JAPAN

 



超エモーショナルな触れ込みの記事ですが、決して演出めいたセリフや感動的な展開ではなく、グループの生まれ変わりの真っ只中で不安や悩みを抱きつつも受け応えは落ち着いていて、飾らないありのままの雰囲気が伝わるものでした。銘打たれた『リアル・アイドルストーリー』とは、本当の姿を見せるということだったのだと合点がいった次第。わちゃわちゃした小学生だった二人の心の成長が感じられました。
最近では「癒してハロプロ」にも取り上げられる平賀さんの記事ですが、通り一遍のQ&Aにとどまらず、メンバーの素の表情を捉えてくれることに信頼が置かれているのだと思うんですよね。


さてこの記事、ブックマークの数でも分かる通り、まだ世間的に夜明け前のメンバーへのインタビューとしては格段の反響を呼んだのですが、そうなると、これだけモーニング娘。が話題になった記事、おそらく道重リーダーはネットパトロールで確保したはず。であれば、、


−−−道重さんはこの記事の二人をリーダーとしてどのように見たのだろう……?


そんな疑問から、道重さゆみという人を通じて 「リーダーと15歳」 を振り返ってみたくなりました。





飯田リーダーの考える若いメンバーへの思い

道重さゆみのリーダー像を考える時、いつもわたしは飯田さんが卒業を間近に控えた『ハロモニ。』を思い出します。

みんなそれぞれさ、小っちゃい時からやってきてね、叱らなきゃいけないこともあるけど、でも、ねえ、家族と離れて暮らして寂しい気持ちしてる子もいたりとかね、なかなか学校の友だちと遊べなかったりとか。
そういう中で、あたしが叱ったりとかしたら、もっとこの子 悲しむなって思ってたの。だから、すごく叱るのイヤだったの。
でも、叱らなきゃいけない状況もあって色々注意して、すごく苦しかったと思うんだ、みんな。
でも、そうやって乗り越えているから、今のみんながあると思うし。そうやって、きっと、辛いことを乗り越えてなかったら今のモーニング娘。も無いと思うし。後輩が入って来たら、うん、ちゃんと叱ってあげて、ちゃんとそのひとりひとりのメンバーを愛せるモーニング娘。になってください。




 
ハロー!モーニング。 飯田圭織卒業記念SP』 2005.02.06放送


このように気持ちを吐露する飯田圭織は23歳、目に涙を浮かべて聞いている道重さゆみは15歳

厳しい指導を受けてきたけれども、「家族と離れて寂しい気持ち」で「(忙しくて)学校の友だちと遊べなかった」少女は、おそらくここで初めて、あえて嫌われ役を演じていたリーダーの思いを聴いたのです。

ポスト中澤を任されたプレッシャーに苦悩しながら自らを厳しいリーダーへ変えていく様子を、後から入った5期6期は目の当たりにしていません。しかし、この放送で卒業コンサートのセレモニーのような メンバーひとりひとりから言葉をかける場面があるのですが、注意してもらったことへの感謝 を述べるとともに、ふとした瞬間に 褒められたことが嬉しかった と言っているんですよね。

厳しい叱咤激励の中にも ちゃんとリーダーの愛情が伝わっていたのだとお互いに確認する、素晴らしい場面でした。(参考:2005-02-06 - テレ娘。


それから、8年半後。。



道重リーダーから見た15歳のメンバー


多忙を極めた2013年夏のプロモーション、その目玉となったミュージックステーション出演(2013.08.23放送)について、自身のラジオで話していました。

今回何と言っても『ミュージックステーション』さんに出られたことが、わたしたちモーニング娘。としては、すっごく嬉しくて、わたし以外は初めての『ミュージックステーション』なんですけど、今の現役メンバーにとって
(中略)「鞘師、良かったね。嬉しいねえ」って言ってたら、なんか鞘師も「ハイ、もうあたし絶対頑張ります!」って言ってて、あーもうすごい気合入ってるなあって思って、そういうメンバーが居てくれることも嬉しいなあって思って。
で、当日、『ミュージックステーション』の朝を迎えて(中略)なんか、鞘師がうるうるしだして、なんか えー! みたいな感じになってて どうしたのー? と思って、「私、すごい緊張してきましたぁ」って言ってて。
本番まであと8時間くらいあったんですけど、なんか、わたし鞘師の涙って正直あんまり見たことなかったんですよ。あぁ何かすごい色んな物を『ミュージックステーション』に思いがあるんだろうなあと思って、なんかすごいそんな鞘師がすごい可愛かったし、本番ではしっかりキメるところとかもエラいなあって思って、まだ中学生なのにすごいなあって思いながら。
でもなんかそういう風に、メンバーもすごいここにモチベーションというか色んな物を持ってってる感じで……

 
『今夜もうさちゃんピース』 2013.09.09放送


リーダーとなった24歳の道重さゆみが、武者震いや緊張を隠し切れない15歳の鞘師里保の微笑ましさや頼もしさについて語っていたのです。

他の場面でも、れいな卒業コンサートのMCでフクちゃんに対して愛ちゃんがダンスが上達したと言ってたことを伝えたり、インタビューの場を借りて『恋愛ハンターUpdated』の再録で飯窪さんの声量がグッと上がったと伝えたり。。

親の背中を見て子は育つと言いますが、かつてエキセントリックな女の子から厳格なリーダーへとキャラクターを変えた飯田さんがいて、その姿を加入当時にリーダーの「是」として学んだ道重さんが、勘違いキャラを経てメンバーを気遣うリーダーへと成長しています。おそらくかつての15歳だった自分を思い出し、かけられて嬉しかった言葉を選びながら投げかけているのだと思うんですよね。

そして、その極めつけが冒頭の武道館公演でのメンバーの評価だったわけです。



「モー娘。道重、後輩の成長喜ぶ モーニング娘。コンサートツアー2013秋 〜CHANCE!〜」(道重MC 7:21〜)


そして、これはわたし個人的なお話なんですけど、
今回のツアーが、私にとって先輩も同期も居ないっていうツアーが初めてでした。
正直、大丈夫かなぁって思いました。
でも、大丈夫でした。
それは何でだと思いますか?
それは……後輩たちが頼もしくなっていたからです!
 
モーニング娘。コンサートツアー2013秋~CHANCE!~ 2013.11.28)

コンサートに限らず 様々なCHANCE!に果敢に挑戦した一年の締めくくりの大舞台で、支えてくれたスタッフや大勢のファンの前で、一言一言を慎重に押し出すようにしてメンバーたちを大きく評価します。それは褒められて伸びてきた平成生まれの道重さんらしい、リーダーの思いやりあるコメントでした。

この一言は本当に重要だったと思うんです。過去を意識して「はやく、モーニング娘。に追いつきたい。*1」という若手に対し、かつてステージ上の自分を誰も見てくれてないと思っていたメンバーだったからこそ出せる表現。

当日のTwitterでこの言葉を目にした瞬間、この一年の記憶が走馬灯のように巡るのを感じましたね。特に、暑さに負けず熱心な活動をした夏のプロモーション。全国のラジオ番組を回って沢山の「はじめまして」を言ってきたメンバーたちの頑張りが報われたような気持ちになりました。



発信するリーダー


道重リーダーのもう一つの強みは発信力です。

2003年春の改編期、道重さんが新人として加入してまもなく『飯田圭織 今夜も交信中!』が終了してしまいました。これにより飯田さんが飯田圭織として自身を発信する場は限られるようになってしまいます。それに対して、道重リーダーは、幸いなことに自分のラジオ番組を続けています。

先日、TKさん (id:tk-mokami/@tk3838) も当時を振り返って語っていますが、リーダーとしての思いも、娘。の歴史上のメンバーのひとりとしての思いも、そして自身のトークの魅力も発信してくれているんですよね。(えだはモー神通信 ※2013.12.17更新分)

当時の飯田さんに接する5期6期と同様、今の若手メンバーたちも大先輩には尊敬の気持ちばかりで、それ以上踏み込んだり ましてやイジったりなんてことは出来ないでいます。でも実は、つい最近の放送でも、コンサートのMCでまーちゃんにおばさん呼ばわりされたことを「大きな一歩」と発言していたりします。

東京で聴くには手間がかかりますが、なんとかリーダーの気持ちをリアルタイムにキャッチして欲しいなあと思います。





15歳のモーニング娘。

このpostの時点で、9,10,11期の年齢を平均すると「15.56(歳)」という数字がはじき出されます。*2

おそらく多くの人が、15歳という年齢を振り返ると感傷的になります。まだ自分自身もよく見えないのに義務教育を終えるにあたり将来のことも考えなければならない、進む道が正しいかどうか分からないけど前に進まなければいけない、そんなデリケートな時期。希望にあふれる表情で『I WISH』を歌うメンバーたちですが、それを演じているのは実は不安定な年頃の少女たちです。


道重リーダーがラジオで語る前の日、夏のプロモーションの最後のイベントを終えた15歳の鞘師は、その日のブログをこんな文章でくくっていて、ちょっと想像を掻き立てられました。

では今から移動しながらアンジェラ・アキさんの歌声に癒されようと思います(*^^*)


おやすみなさやしぃ~(*^^*)

鞘師里保(●´ー`●)
 
綺麗な夕日(*^^*)鞘師里保|モーニング娘。 Q期オフィシャルブログ Powered by Ameba


アンジェラ・アキさんといえば、現役中学生なら、教科書にも載っている『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』に少なからず影響を受けていると思います。

ご存知の通り、この曲は、タイムカプセルから出てきた15歳の自分自身からの手紙に書かれている当時の悩みに思いを馳せ、その15歳に宛てて勇気づける返信をするというものです。
アンジェラ・アキ/歌詞:手紙 〜拝啓 十五の君へ〜/うたまっぷ歌詞無料検索


重い歴史を一身に背負うセンターとしての自分の存在意義を中学生ながらに咀嚼して、歌詞に出てくる 「今 負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな僕」 に自身を投影して自らを鼓舞しているのだとしたら……。こんなロックな少女、溺愛しているリーダーならずともカッコ良くてしびれてしまいますね。




でも、そんな鞘師が、もし気付いてなかったら知って欲しい。まるで その手紙の送り主のように あたたかく見守りそして支えてくれるリーダーがすぐ近くにいることを。

もちろん「拝啓 あなたのインタビュー読みました」とは言わないだろうし、抱えた悩みが一言で簡単に解決するようなことも多分無い。けれど、かつて道重さゆみも同じ15歳のモーニング娘。だった。そして今の15歳のモーニング娘。に尊敬される人物になった。これは紛れもない事実ですよね。

学ぶべきことを学ぶとともに、頼るべきところは頼り、出来れば「当時どんなことに悩んでいたのか」なんてことを聴いたりして、自身の成長に結びつけていって欲しいなあと思うのです。

何より、それがモーニング娘。の良さですから。




 ◆ ◆ ◆


「飯田さんからは、いつも「さゆ」って呼んでくれて、いつも可愛がってくれて、よしよししてくれて、すごい嬉しかったし……楽しかったです。」






*1:「1/娘。 モーニング娘。 飯窪春菜」 - YouTube http://youtu.be/R23X0ACVeBY

*2:偶然ながら 15歳6ヶ月22日の鞘師にピタリと一致。