bayfm『ON8』 Juice=Juiceデビューを支えたDJさなさんの思い入れ

9月11日、大勢の人に見守られながら、Juice=Juiceは実に素晴らしいメジャーデビューを果たしました。

デビュー曲のリリース当日は、池袋サンシャインシティで行なわれたライブ＆握手会イベントに2000人のファンが詰めかけ、地下1階のステージ周辺から吹き抜け3階までびっしりと埋まりました。
今回のデビューの前後、Juice=Juiceのイベントや公式の動画では涙する姿が多く見られます。それはこの日を迎えるまでの沢山の苦難があったからに他なりません。メジャーデビューが決まった矢先にメンバー1名が離脱し、ハロー！プロジェクトでの本格的な活動が始まろうとしている時期にセンタープレーヤーが足を怪我。直近のブログで、高木紗友希さんが、当時気持ちの面で弱っていたことを吐露しています。

「前にJuice=Juice5人で、まじめに「このままで大丈夫なのか」っていう話をした事があるんですけど、その時は「3位以内なんて私たちには無理だ」ってすごく弱気になってました。」

夢見ることが全てじゃなくて叶えようとすることが全て高木紗友希｜Juice＝Juiceオフィシャルブログ Powered by Ameba

そんなギリギリの気持ちで臨んでいた彼女たちのデビューを外側から支えていたのが、千葉県のFM局 bayfm の音楽番組『ON8』のDJのさなさんです。とにかく声が大きく、非常に快活な女性という印象の人。

以前からbayfm『ON8』は「はっきり言ってハロプロびいき」を公言する番組で、2005年以降、多くのハロプロユニットをゲストに招いています。
その『ON8』が今年の5月から、これから山の頂上を目指すアイドルをフィーチャーする新企画「アイドル山」を起ち上げることになり、その第一回のゲストに招かれたのがJuice=Juiceでした。これがさなさんとJuice=Juiceの出会いであり、Juice=Juiceの初めてのラジオ出演でもあります。

アイドルをフィーチャーする新企画の第一弾ゲストにJuice=Juiceを選ぶあたり、「ハロプロびいきです！」を公言する『ON8』の本気の心意気が感じられて有難い。 #bayfm
— もかまっちゃ (@_mochamacha_) 2013, 5月 23

その後、今日までに企画最多の5回出演していますが、さなさんは常に明るく優しく芸能活動のスタートダッシュを全力で応援してくれています。

そんな良好な関係の中、ハレて堂々のメジャーデビューを迎えるかと思いきや、いきなりの苦難に見舞われたJuice=Juice。それを知ったさなさんは、番組中に語り始めます。。

DJさなさんのエール（8月29日O.A.）

さな、Juice=Juice宮本佳林へのメッセージ - YouTube

捻挫だと思っていた怪我が骨折だったことを知った当日がたまたま収録と重なり、ショックを受けながらもそれに耐えて気丈に振る舞うカリンちゃんを目の当たりにしたさなさん。Juice=Juiceへの尊敬の気持ちを再確認するとともに、彼女たちを応援すべく特設ページの開設し、ファンの応援メッセージを募ったのです。

＜『ON8』が用意したJuice=Juice応援特設サイト＞

佳林ちゃん大丈夫ですか、
ごめんなさい、全然大丈夫じゃないよね。

骨折した足で
ステージを歩いていたんだもん
佳林ちゃんは本当にスゴいです。

　（中略）

私と同じ気持ちのあなたへ。
　
今こそ、私たちもJUICE=JUICE と共に
頑張る時じゃないでしょうか。

いつもステージから
私たちにパワーをくれるJUICE=JUICEに、
もらったパワーを返す時じゃないでしょうか。

私が責任をもって、あなたの言葉を、応援を
必ず佳林ちゃん、ゆかにゃん、
かなとも、あーりー、さゆべえに伝えます。
頂いた気持ちを必ず必ず、
１つ残らず全て届けます。

私に、JUICE=JUICEへのあなたの想いを預からせてください！

あなたと一緒に応援したいんです。
お願いします。

さな

頑張れ！JUICE=JUICE！

（【参考】　「宮本佳林ちゃんさん号泣のお知らせ！」 http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1377777402/ ）

この呼びかけに対して沢山のファンからメッセージが寄せられ、その集まった思いを伝えるべく番組は再びJuice=Juiceをゲストに招きます。

さなさんの呼びかけから集まったファンのメッセージ（2013.09.06収録/2013.09.12 O.A.）

【さな】ファンからJuice=Juiceと宮本佳林に寄せられたメッセージ - YouTube

ファンのメッセージの熱さに、2通目の時点で読みながら泣き出してしまうさなさん。気がつけば5人も「みんな泣いてる～」と泣き笑い。全員が泣いたまま番組は進行していき、沢山の言葉に励まされて支えてくれる人たちの大切さを知った彼女たちはひとりひとり決意の気持ちを表すのでした。

＜放送後のエントリー＞

まずはお礼を言わせてください。

Juice=Juice への熱いメッセージを送ってくださったリスナーの皆さん。
本当にありがとうございました。

　（中略）

ファンの方の気持ちによってメンバーは私の前で泣きました。
泣いてくれました。

いつも笑顔でいてくれるメンバーだけど、

でも本当は辛いのに笑ってくれてるんじゃないかって。
無理してるんじゃないかって。
すごく不安だったんです。

だからゆかにゃん、かなとも、さゆべえ、あーりー、そしてかりんちゃんの涙が見れたとき
正直ホッとした。

そして、メンバーの気持ちと、応援しているファンの方の気持ちと、私の気持ち
みんなの気持ちが繋がったこの瞬間が本当に嬉しくて。

こんなことがあるんだって、奇跡にも思えて。

目には見えないけど
あの場にたくさんのファンの方がいたような気持ちがします。

みんなで、思いっきり泣いた後かりんちゃんが
『忘れられない日になったね』って言ってくれました。

　（中略）

そうしてアーティストとファンが支え合いながら歩んでく。

今回私たちが見つけた
何にも変えがたい、宝です。

さな

第１７回_JUICE=JUICE

こうしてさなさんの熱意により、Juice=Juiceとファン（もちろんさなさんも）が互いに固くつながったのです。

DJさなの献身

熱心に支えてくれる番組DJのさなさん、いったいどんな人なのでしょう？

わたしが最初に彼女を認識したのは5年近く前にさかのぼります。フジテレビで新しい芸人を発掘する深夜番組『新しい波16』に出演した女芸人コンビ「相方不在」のツッコミとして彼女のことを知りました(2009.01.12 O.A.)。

ミュージカルのオーディションを受ける女性の設定でコントを披露。エンドトークでは劇団の子役だったことを明かしています。

ウエンツ(司会)「相方不在さんは、なぜお笑いをやろうと思ったんですか？お綺麗だし、サンズ……」※サンズエンタテインメント：名物社長の野田義治氏が率いるグラビアモデルが多く所属する事務所。
相方不在・もなみ「はい、巨乳事務所です！」
ウエンツ「だったらもう、ねぇ、グラビアでねぇ……」
相方不在・もなみ「いや、あのー、お笑いをやりたかったんですよ」
　（中略）

相方不在・もなみ「きっかけはM-1に、野田社長に受けさせられて、ねっ」
相方不在・さな「そうですね。」
ウエンツ「お笑いの熱をもなみちゃんの方からしか感じられないですね。」
相方不在・もなみ「さなちゃんは順風満帆だったんです。」
相方不在・さな「わたし昔は、ウエンツさんと同じで子役だったんですよ。ミュージカルの子役で、劇団四季で“ライオン”をやってたんですよ。それで、ミュージカルの子役でずーっと来てて、そしたら今の事務所に入って、でも、何かいつも、わたしは何か違う、わたしは何か満たされないって。」
相方不在・もなみ「ウソ臭かったんですよ。」
相方不在・さな「いやいや、ウソ臭くはないよ。ミュージカルだからオーバーだけどね*1。それである日、M-1を受けたら開花したんですよ。」

この番組で活躍した芸人はそのままコント番組のレギュラーが待っているとあって意気込んでいたのですが、同じ回に出演した「少年少女」の巧妙なアピールに圧倒されることになります。

相方不在・もなみ「でも、アイドル事務所じゃないですか。どうしてもアイドルの延長でやってるんじゃないかーって思われちゃうんです。二人は本気なんですよそれを見てもらいたいんです」

少年少女・阿部「……あのぉでもやっぱりあのビジュアルがいいってことはまあそれだけ恵まれてるわけですから(会場、微妙な笑い) そこはまぁあの自分に責任を持ってもらって……そっからじゃないっすか？」
相方不在・さな「どうしたらいいんですか、わたしたちは！？」
少年少女・阿部「正直、嫉妬ですけどぉ！キレイな人が何やったって、そりゃまキレイにしか見えないんだから！」(会場、爆笑)
少年少女・坂口「もう私生活から変えた方がいい。ブスになればいい。起き抜けで酒！酒入れてタバコ吸って」
相方不在・もなみ「そうしたら認めてもらえますか？」
少年少女・阿部「そうすると段々お客さんが笑ってくる。」（会場、納得）

結果、その場をかっさらった少年少女がレギュラー入りを果たしわたしも吉本のライブなどでよく見かけたのですが、一方で、図らずもどのように活動したら良いか迷っていることを告白することとなった相方不在は、お笑いの分野に不得手な事務所に所属していることもあってその後はテレビはもちろん舞台などでも見かけることはなく、実は半年後にコンビ解消しているのだと知るのはだいぶ後のことになります。。

それからかなりの時間が経過した今年のはじめのこと。『ON8』を聴いていると、ラジオの実況TLに「さなってカレッツァの人だよな」という一言を見つけます。何とは無しにWikipediaを見て驚かされました。*2
「carezza……といえば野田社長……野田社長の事務所の相方不在？……って子役あがりの女芸人？……が解散したの？……で……現在はラジオのパーソナリティ！」　私の記憶の中の、昔々に巡回していたガッタスファンのブログで見かけた話、お笑い好きとして印象に残っていた女芸人、そして目の前のスピーカーから声が聞こえるラジオDJ、それらが一本の線でつながったのです。

bayfm「ON8」で絶叫してるさなさんって「相方不在」の人だったのかー。深夜の若手発掘のお笑い番組で気になったっきりだったんだけど。ライオンキングでナラ役をやった元エリート子役なのにサンズに入って、モデルからお笑いに移ったり「カレッツァ」のキャプテンやったり、かなり波乱の人生。
— もかまっちゃ (@_mochamacha_) 2013, 1月 31

まさかすべて同じ人だったとは……。

劇団四季『ライオンキング』のナラ役・夏川さな恵
女性ダンスユニット「雅～MIYABI～」のメンバー・赤坂さなえ
芸能人女子フットサルチーム「carezza」のゴレイロ・赤坂さなえ
女芸人「相方不在」のツッコミ・さな
bayfm『ON8』のDJ・さな

まだ25歳になったばかりとお若いんですけど、波瀾万丈の人生に立ち向かう情熱家なんですよね。YouTubeコメントにも同じことを思っている方がいました。

（YouTubeコメント： http://www.youtube.com/comment?lc=Euc-imHFbzqym7f1EEvj65XM6tm0tHfM9ST7I28-p4k ）

Juice=Juiceの平均年齢は16歳です。その年齢の頃のさなさんはちょうどcarezzaに入った頃で、フットサルのことなんて何にも分からないけどとりあえず頑張ろうともがいています。（「さなえでございまぁすっ!!! 」さな＠カレッツァのフットサルブログ）

一方で、小さな頃から自分の夢を見据えて頑張ってきた宮本佳林という華奢なのにやたら意識の高い少女が目の前にいて、まだ中学生なのにその夢の第一歩にまもなく辿り着こうとしている。が、その目前でのピンチ。憶測ではありますが、さなさんがJuice=Juiceに思い入れを持つのは自身のこれまでが背景にあって、自分と対比して実に真っ直ぐな姿勢で臨む彼女たちを見過ごせずにいられなかったのではないか。そう思うんです。

心配ないさ～♪

さなさんとファンのメッセージの励ましを受けて、彼女たちは収録当日のブログでこのように語っています。

「応援してくださる皆様への感謝の気持ち、これからもっと頑張ろうという決心がさらに深まりました。」
♪.ON8さん！金澤朋子｜Juice＝Juiceオフィシャルブログ

「私が頑張るのは、自分のためでもあるけど、私たちを愛してくれる人のために頑張るんだなって、なんか改めてわかったというか...」
泣いちゃうかも高木紗友希｜Juice＝Juiceオフィシャルブログ

「私たちが唯一みなさんに出来ることは、全力で頑張ってみなさんの元気の源になること！　応援してよかった！！！　っておもってもらえるグループに絶対なりたい！　いや！なります！　ってメンバー全員が思ったと思います。」
ON8さん！さなさん！☆宮本佳林｜Juice＝Juiceオフィシャルブログ

周りの思いに触れ、いずれも気持ちを新たにしています。かなともの「決心」という言葉を見るに、このタイミングで吹っ切れたのかなあと思います。デビュー直前の後押しは、壁を乗り越えるための大きな力になったのではないでしょうか。

そうして、支えてくれる人たちの大切さを知ってリリース当日を迎えたJuice=Juice。大勢のファンが集まる池袋サンシャインシティで、リーダーの宮崎由加さんは大切な人たちに心をこめてこのように伝えます。

Juice=Juiceに関わる方々を「ファミリー」と呼ばせてください
わたしたちと一緒にこれからもっともっと上を目指して
一緒についてきて欲しいなって思います
ついてきてくれますか？

一回り成長した彼女たちの問いかけに、会場全体があたたかい拍手で応えたことは言うまでもありません。

■

新人時代の田中れいなやデビューしたてのスマイレージが、周りは敵ばかりだと思っていたとか周りの目が怖かったとかいう経験を話していたことがありました。彼女たちは経験を積むに連れて「ファンの皆さんのおかげ」「スタッフさんのおかげ」と支援してくれる存在が自分の活動の大きな力になっていることを覚えていきます。
そう考えると、Juice=Juiceの産みの苦しみは涙を堪え切れないほど辛かったけれども、今の早い段階で、自分たちを支えてくれる人たちの大切さを知ることが出来ました。これは大きな収穫であり今回乗り越えた経験が必ずこの先に活きてくるに違いないと思います。

大勢の人に見守られながら、実に素晴らしいメジャーデビューを果たしました。