テレ娘。

「テレビで見かけた娘。さんたち」 略して、テレ娘。 テレビ好きの目線から、画面に映った娘。さんたちについて触れます。

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仔犬のワルツ

仔犬のワルツ - テレ娘。
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いくつもの不明点を残して終わりました。一番の注目であった二人の最後さえも殻に閉じたまま。最後に残ったのは、晴れた空と銃声だけでした。
一つの仮定として私は、あの結末は映像とするにためらわれる悲しい結末であったから敢えて映さなかったのでは、と考えてみました。かの「高校教師」の最後は、二人が共に命を終えて物語りは括られます。そこに尊い愛の終末を美しく映し出すことができました。しかし、ワルツの最後はたった一発の銃声。どちらかがどちらかを撃って、それで終わりです。せっかく互いの愛を確認できた二人にとって、あまりにも悲しい結末。
葉音に自分の罪を知られたことを恥じて芯也が自分自身に向けて撃ったか、事実を知ってしまった葉音の口を封じるために芯也が葉音に向けて撃ったか、あるいは、罪を許せずに葉音が芯也に向けて撃ったか、芯也の罪にショックを受けた葉音が自分自身に向けて撃ったか。いずれにしても、二人の愛はそこで途絶えてしまいます。後に残るのが、何が起きたのかをいつまでも把握できずに立ちすくむ葉音の姿であっても、完全犯罪を成し遂げてほくそえむ悪者の姿であっても、書き手が伝えたかった二人の愛の姿とは程遠いもの。罪への決着はつけなければいけないが、いずれの結末も、映したい姿ではない。何より、美しさのかけらもない。そこで、二人の愛は永遠であることと、芯也が犯した罪に決着をつけることの二つの矛盾を、一つの「形の無い形」で表現して終えたのではないでしょうか。
どちらにしても、答えを導き出せずに投げ出してしまったということですね。